このごろ中国各地では、病院や学校の体育館、スーパーマーケットの屋根が崩落する事故が相次いでいる。
先月23日午後2時過ぎ(現地時間)、江蘇省鎮江市にあるショッピングモール店舗2階の床が突然抜けるように崩落する事故が発生した。空いた穴から当時店内にいた女性客1人が服のかかったラックとともに、穴へ落下した。下の階で工事をしていた工事関係者1人も足にケガをする事態となった。
中国メディアによると、その後被害者2人は駆け付けた消防隊員によって救助され、負傷したものの、いずれも命に別状はないという。また事故原因については、現地当局は「まだ調査中」と述べるにとどめている。
インターネット上に流出した崩落の瞬間を捉えた映像によると、何の前触れもなく、店内の床が白い埃とともに瞬時に抜け落ち、約数平方メートルにわたる巨大な穴ができた。
近年では「おから工事(手抜き工事)」が原因とみられる同様の事故が頻発しているため、このような事故はもはや「見慣れたもの」ではあるが、中国市民の間では「またか、こんなこといつまで続くんだ」という不安が広がっている。
ネット上では嘆きの声が広がるともに、「老朽化していたにせよ、おから工事だったにせよ、中国は世界一安全な国だ」の皮肉が多く寄せられている。
というのは、何を根拠にそう言うかは不明だが、中国当局は自国を「世界一安全な国」と主張しているため、おから工事や強制臓器摘出などの事件が発生するたび、必ずといっていいほど「中国は世界一安全な国だ」の揶揄がもはや定番化してきている。
小学校で「鉄製」の手すりに穴が開いた
先月、青海省西寧市の小学校でも、階段の手すりが抜けるように壊れ穴が開き、生徒1人が下の階へと落下する痛ましい事故が起きている。
鉄製とみられる手すりだが、映像を見る限り強度が十分であるようにはとても見えない。子供がじゃれあってぶつかったとはいえ、あまりにも簡単に「大穴」が開いた。
頭を下にして落下した生徒の母親が中国メディアに話したところによると、頭蓋骨を3分の2も切除する大手術を経て、今も集中治療室(ICU)で昏睡状態であり死に至る可能性があるという。
しかし、事故の責任について、学校側は責任の所在を明らかにしていない。
(小学校の階段で手すりの下部に開いた大穴から生徒が落下)
「おから工事」が蔓延した中国
中国で欠陥住宅を無数に生み出してきた手抜き工事は、豆腐のおから(豆腐渣)のように、手で砕けるほど脆いことから「おから工事(豆腐渣工程)」と呼ばれている。
その原因として、拝金主義の横行、住宅の品質や企業の社会的責任よりも利益の追求を優先する風潮が挙げられる。こうした「おから工事」は、共産党統治下の中国では以前から大きな社会問題となっている。
その「品質のひどさ」は、まさに桁外れである。排水管の亀裂、天井や電気系統の欠陥、壁のひび割れ、あらゆる箇所からの水漏れ、さらにはガラス窓が「窓枠ごと外れる」など、とても新築物件とは思えないようなものばかりだ。
そのほか、「指一本で穴があく」という石膏ボードのようなコンクリート壁、足で踏むと「砕ける」階段、さらには「鉄筋の代わりに竹を使用した住宅」など、とても信じ難いものもある。
ショッピングセンターの店舗の床が崩落した今回の事故も、こうした工事不良が原因の可能性が高い。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。