中国の王毅外相は20日、豪州の首都キャンベラでウォン外相と外交戦略対話を行った。
王外相の訪問期間中、在外のチベット人やウイグル人、香港人、さらには中国人の活動家など数百人が20日、キャンベラで集会を開いた。
集まった抗議者たちは、中共政府を代表する王氏の訪問に抗議の意を表するとともに、ペニー・ウォン豪外相に対して、会談のなかで中共によるチベットや新疆、香港での人権侵害問題を提起するよう求めた。
キャンベラの中国大使館前では、チベット人活動家たちがチベットの旗「雪山獅子旗」を掲げ「フリー・チベット」と叫びながら抗議活動を行った。激昂した抗議者のなかには大使館に突入しようとする者もおり、現地警察によって制止される様子を捉えた動画がネット上に流れている。
抗議者たちは「我われは永遠に沈黙しない。我われには勇気がある」などのスローガンを声高に叫んでいた。
この会談は2017年以来、中豪両国が豪州で行われた会談のなかで最高級レベルのものとなる。
中国武漢を発生源とするパンデミックが世界に蔓延した2020年。新型コロナウイルスについて豪州が「ウイルスの発生源などに関する独立した調査が必要だ」と主張してから、両国間の緊張が高まっていた。
中国は豪州に対して、一連の貿易制限を科すとともに、中国系オーストラリア人作家の楊恒均(ヤンヘンジュン)氏を「スパイ罪」で死刑判決にしている。
今年2月5日に、北京第二中級人民法院(裁判所)で死刑判決をうけた楊恒均氏は、2年間の執行猶予つきであるが、個人財産は全て没収された。
会議後に開かれた記者会見で、ペニー・ウォン豪外相は「楊恒均氏のスパイ案件については注視している」と述べた。
ウォン外相はまた、中国による豪州に対する制裁関税の撤廃を求めるとともに、新疆やチベット、香港の人権問題への懸念を表明し、東アジア地域の平和と台湾海峡の安定を望んでいることを明らかにしたという。
(在豪の中国大使館前で抗議する活動家たち)
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