アメリカ軍事 見えない相手と戦うのは簡単ではない。

なぜF-35は圧倒的な殺傷力を持つのか、海軍パイロットが解析

2024/03/05
更新: 2024/03/05

米国の第五世代戦闘機であるF-35「ライトニングII」は、先進的なステルス技術を先端的で機動性の高い超音速戦闘機に統合し、パイロットに前例のない状況認識能力と比類ない殺傷能力および生存能力を提供している。海軍のパイロットは、F-35戦闘機は映画『トップガン マーヴェリック』を退屈なものにしてしまうと述べている。

F-35はロッキード・マーチン社によって製造され、米空軍、海軍、海兵隊によって運用されており、今後25年間で前線の戦闘機としての地位を確立することが期待されている。2015年の運用開始以来、F-35は米国の主要な防衛構成要素としての地位を確立した。

国家安全保障での役割だけでなく、F-35の先進航空電子機器はパイロットの能力を向上させ、より迅速に高い技能レベルに達するのに役立っている。

新たな脅威が現れる中で、米国と同盟国が、F-35ステルス戦闘機(世界で唯一の第五世代国際戦闘機)を保有することは以前よりも重要になっている。F-35の各機種は独自の設計が施されており、異なる環境での運用が可能であるが、F-35の三つのモデルすべてがネットワーク任務システム、センサー統合、及びサポート性の面で新たな基準を設定している。つまり、役割に応じて分業が可能だということで、言うまでもなく、F-35は多用途戦闘機を新たに再定義したのだ。

F-35とその信じられないほどの能力

F-35がなぜこれほどの強力な力を持っているのかを理解するために、米メディア「Straight Arrow News」は、退役海軍パイロットで現ロッキード・マーチン社のF-35テストパイロット、トニー・ブリック・ウィルソン氏にインタビューした。

ウィルソン氏は次のように説明する。「F-35とそれがパイロットに提供する能力を持っていれば、戦場でほぼすべての状況を把握できる」

米海軍航空史上、F-35Cは航空母艦上で初めてレーダーを回避するステルス能力を実現した。F-35Cの航空母艦モデルは、武器システムの統合、殺傷力、保守性、作戦半径、有効積載量の面で新たな高い基準に達し、本当に海上で多方面の任務を展開することができる。

ウィルソン氏は航空母艦にF-35Cを着陸させた最初のパイロットであり、現在ではF-35のすべてのモデルを操縦している。

F-35Cは最も厳しい艦載条件下でも、観測される可能性を最小限に抑え、ステルスの優位性を実現した。

F-35パイロットは現在、この戦闘機の先進技術から恩恵を受けており、これにより戦場の状況をより明確に把握することができる。F-35の先進技術により、伝統的なドッグファイト(近距離空中戦)は時代遅れになったと言われている。

ウィルソン氏はさらに、「もし私が敵の航空機を見つけ、位置を特定し、追跡することができ、その身元情報を得ることができれば、敵が私の存在を知る前に、私が最適な戦略を選択できる」と付け加えた。

F-35は『トップガン マーヴェリック』を退屈にする?

ウィルソン氏は、F-35戦闘機とその信じられないほどの能力が、映画『トップガン マーヴェリック』の内容を退屈にしてしまう理由を説明した。

まず、F-35のヘルメットが非常に重要な役割を果たしている。

「もし、私が飛行を始めたばかりの頃に、このヘルメットについて尋ねられたりしたら、『これはスターウォーズのものだ』と言っただろう」とウィルソン氏は言う。「いま私はそれらの機能を知っているが、当時は想像もできなかった」

ハリウッド映画中でパイロットに関して最も非現実的なシーンについて尋ねられたとき、ウィルソン氏は『トップガン マーヴェリック』を例として挙げた。彼は、「『トップガン』がF-35を使わなかった理由は、それが映画を退屈にしてしまうからである。それら(F-35C)は航空母艦から離陸し、自分たちの方法を選んで、防空システムをすり抜け、脅威を回避して、目標を攻撃した後、また誰にも気づかれずに戻ってくるでしょう」と述べた。

現在、米軍は主にステルス機に頼り、すり抜け任務を遂行している。これらの航空機は基本的に発見されにくい。遠距離レーダー誘導ミサイルで対処することがさらに困難である。映画で描写した近距離空中戦がない。レーダーを避けるために峡谷を飛行する必要もなく、より高い高度から攻撃を行い、ミサイルへの感受性を減らすことができる。

F-35戦闘機はF/A-18E/F「スーパーホーネット」ほどの機動性はないが、防空システムで厳重に保護された空域をすり抜けるために設計されている。

『トップガン』の脚本家は、F-35戦闘機が明らかに優れた解決策を持っていることを知っているので、このような戦闘機は映画に向かないと分かっている。

中国もいわゆるステルス戦闘機J-20の大量生産に力を入れているが、米国は数と質の両面で大きな優位性を持っている。これには、優れたパイロット訓練と支援資産も含まれる。しかも、J-20のステルス機能はF-35に比べて劣ると言われている。