連邦捜査局(FBI)とサイバーセキュリティ・インフラセキュリティ ー庁(CISA)は17日に発表したメモと報告書の中で、米国の重要インフラの所有者や運営者は、セキュリティ上のリスクから中国製の無人航空機システム(UAS)を使用しないよう警告した。
CISAのインフラセキュリティ担当エグゼクティブアシスタントディレクターのDavid Mussington氏は報告書に添付されたメモの中で「中国製UASの使用は、米国の国家安全保障、経済安全保障、公衆衛生と安全を危険に晒す機密情報を暴露する可能性がある」と指摘。「組織から知的財産や機密データを盗み出そうとする中国(共産党)の積極的なサイバー作戦に “緊急の注意 “を払わなければならない」と述べた。
米国では中国製ドローン、特に中国に本拠を置く世界最大手DJI(大疆創新科技)のドローンが問題視されている。2020年12月、商務省は中国共産党(中共)政権の人権侵害に加担しているとして、DJIを輸出管理対象とする「エンティティーリスト」に追加した。2022年には、米国防総省がDJIを、米国で直接または間接的に活動している「中国軍の関連企業」リストに加えた。
中国の法律
FBI-CISAの報告書は、DJIや他の中国のUASメーカーの名前には言及していないが、2017年に施行した国家情報法や2021年のデータセキュリティ法を含む中国のさまざまな法律を挙げて、中国製ドローンの使用に伴うリスクを強調した。
「こうした法律により、中国当局はサイバー脆弱性が公に知られる前にシステムの欠陥を悪用する機会が与えられる可能性がある」と述べた。
また報告書は、中国製ドローンが悪用できる3つの主要な脆弱性(データ転送と収集、パッチとファームウェアの更新、データ収集)を指摘した。スマートフォンやその他のインターネット・オブ・シングス・デバイスで制御されるドローンは、米国の重要インフラに対する外国の情報収集を可能にする可能性がある。
FBIサイバー課のブライアン・ボーンドラン課長補佐は声明で、「緩和策を講じないまま、中国製のUASがわが国の主要分野に広く展開することは、国家安全保障上の懸念であり、システムやデータへの不正アクセスのリスクを伴う」と述べた。
メモでは、米国の重要インフラの所有者や運営者に対し、米国企業製を含む「セキュリティ・バイ・デザイン」のドローンを購入するよう奨励している。
反応
エリス・ステファニック下院共和党会議議長と中国特別委委員長のマイク・ギャラガー下院議員は、報告書に対して共同声明を発表した。
「中共のドローンは、われわれの重要なインフラにとって国家安全保障上の正当なリスクであり、米国から禁止しなければならない」
「中共は、DJIやオーテルといったドローン企業に補助金を出し、米国の競争を破壊し、米国の重要なインフラ施設を監視している。我々は、中共が支援するスパイ用ドローンを米国から追放し、米国のドローン産業を強化しなければならない」
ギャラガー氏とステファニック氏は、DJIの技術が米国の通信インフラ上で運用されるのを防ぐため、2023年4月に中共ドローンに対抗する法案(H.R.2864)を提出した。
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