木原稔防衛相は6日、能登半島地震に対応する自衛隊の活動報告を行い、「初動が遅い」との一部指摘に反論した。1日の発災から直ちに災害派遣を行い、翌2日には、統合任務部隊を編成し約1万人の即応態勢をとっていると説明したうえで「自衛隊は人命救助活動を継続し、全力を尽くす」と強調した。7日までに約5400人が災害派遣に従事しているという。
自衛隊は初期段階で、能登半島の特性と道路寸断といったインフラ網途絶を踏まえ、空中機動力を重視し、航空機を利用した被害状況の把握を行なった。その後、消防や警察といった関係機関の人員輸送、道路啓開や「おおすみ」などの自衛艦艇による活動を実施している。
このほか、避難生活の長期化が予想されることから、給水車や炊事車の増加、入浴支援の準備、通信事業者の輸送支援、孤立集落の解消を図る。木原防衛相は「防衛省・自衛隊としては、陸海空各自衛隊が持ちうるアセットを効果的に活用し、最大、最速の対処を今後も実施する」と述べた。
三連休 不要不急の能登外出控えて
6日から三連休に入った。石川県の馳浩知事は、自衛隊、消防、海上保安庁、警察等が人命救助、物資配送、インフラ復旧に尽力している状況から、個人のボランティアは募集していないと発信した。
「お気持ちは大変ありがたいのですが、能登へ向かう道路が渋滞し、物資が届かない、患者の輸送回数が減っているなど救援部隊も大変困っています。今日と明日からの三連休について、能登への不要不急の移動はくれぐれも控えてください」とXで報告した。また、県への電話問い合わせも控えるよう呼びかけた。
7日朝以降は、緊急車両を被災地へ早く到着させるため、「のと里山海道」下り線、主要地方道「田鶴浜堀松線」の一部は一般車両が通行止めとなる。
自粛より「稼いで支援」
消防庁対策本部によれば、6日までに、緊急消防援助隊及び石川県内消防応援隊の活動で116人を救助、208人を救急搬送した。死者は100人、負傷者は450人以上となっている。住宅被害は全壊が293棟、半壊が52棟。
東日本大震災の際に首相補佐官として官邸で対応にあたった細野豪志衆院議員は、100人死亡との報を受けて「能登半島地震の犠牲者のご冥福をお祈りしたい。報じられていないが、自衛隊、警察、消防などが救った命も100人を大きく上回る。このことも国民に知ってもらいたい」と語った。
阪神淡路大震災でも学生災害ボランティアを経験した細野氏は、被災地への救援物資は水、医薬品、食料、おむつなどに絞られるとし、支援物資は専門家の判断に委ねるべきだと強調した。また支援は物資ではなく「義援金という形で協力」できるとも付け加えた。
そして、被災地ではない地域における賀詞交歓会は自粛する必要はないと自説を述べた。「祝賀ムードを抑えるためお酒やお花を自粛する動きがあるという。ようやくコロナ禍が終わり稼げるようになったお酒屋さん、お花屋さんが泣いている。被災地に思いを寄せること=自粛ではない。むしろ経済を動かし、大いに稼いで北陸を応援しよう」
支援は義援金のほか、被災した石川県と富山県の計6自治体は「ふるさと納税」の災害特別寄付の受付を始めている。
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