今年の元旦をはさむ休みの期間中、中国各地ではマンガ・アニメなどの愛好者が集う展覧会イベントが開催された。
こうした展覧会イベントでは、愛好者同士でお菓子などを贈り合うのが、1つの楽しい習慣になっている。ところが今年は、その楽しみの時間が「恐ろしい事件」になってしまった。
なんと、そのお菓子のなかに「カッターナイフの刃」や「縫い針」「怪しい錠剤」「クギ」「鉛筆の芯」「ホチキス針」など、各種の危険な異物が仕込まれていた。
ネット上では「これはテロだ」「新たな社会報復の手段か」といった不安の声が広がっている。しかし、この事件に関して、各地のアニメ展主催者や現地の警察は、なぜか「ほとんど動いていない」という。
今年の元旦の連休中、中国では各地でマンガ・アニメなどの展覧会が開かれた。こうしたアニメ展に参加する愛好者には「お菓子」や「アニメカード」「キーホルダー」などの小さなプレゼントを無料で贈り合うのが、楽しい習慣になっている。
しかし今年は、そうはいかなかった。「イベントでもらったお菓子の中に、危険な異物が入っていた」と多くのアニメ展参加者がSNSで訴えている。被害は、中国の各地に広がっているという。
例えば、昨年12月30日と31日に山東省済南市の済南国際会展センターで開かれたアニメ展「第13回済南幻桜動漫展」に参加した複数の参加者は、こう訴えた。
「イベントでもらったキャンディの中に、カッターナイフの刃や縫い針が仕込まれていた」「菓子パンの中から縫い針が出てきた」「キャンディの中から、怪しい白い錠剤が見つかった」
これら危険な異物によって、指や口の中が傷ついて出血したケースもあった。また、実際の傷の程度は不明だが「舌に穴が貫通した」という被害まで出ているという。
中国メディアの取材に応じたあるアニメ愛好者の場合、アニメ展当日にお菓子を10個以上もらったという。
この参加者は、事前に「お菓子の中に異物が入っていることがある」と聞いていたため、その場で食べずに後で調べた。すると「シャーチーマー(沙琪瑪、小麦粉を使って作った揚げ菓子)3つの中に、なんと10数個のホチキス針や白い錠剤が仕込まれていたことを発見したという。
なかには、そのような「異物入り」のお菓子を食べてしまい、眠気や嘔吐、鼻血などの症状が現れたと訴える人もいる。
中国メディアによると、広東省広州や河南省鄭州で開かれたアニメ展に参加した市民も同様の被害を受けたという。そのなかには、怪しい薬入りのキャンディーを舐めたため「半日ほど嘔吐した」という人もいた。
このほか、ネットユーザーによるまとめでは、蘇州、杭州、南京、成都、武漢、常州、淮安、寧波、遵義など各地のアニメ展で「同様の被害を受けた」という人が出ている。
アニメ展のお菓子に危険な異物を仕込ませる事件をめぐって、ネット上では「これはテロ事件だ」「新たな社会報復だ」「組織的犯罪だ」とする声が上がっている。
しかし、ネット上で騒がれているこれらの事件が、しかも中国全土で、これほど同時に起きているにもかかわらず、なぜか事件が起きた各地の漫画展の主催側や現地警察の反応は、いたって「消極的」あるいは「全く無反応」なのだ。
その背景や動機もふくめて、真相はほとんど明らかになっていない。鬱積した心理をもつ個人が愉快犯のような行為に走って異物を入れたとしても、中国各地で、同時多発的に起きたことの仮説にはなりにくい。
今の中国は、監視カメラに埋め尽くされ、携帯スマホのデータで完全に個人を特定できる監視大国である。警察が本気で関心を示せば、すぐに犯人は見つかるだろう。
しかし、なぜか警察は全く無関心のようだ。
「人民同士が互いに傷つけ合えば(中共の)政権批判をしている暇がなくなるから、当局はわざと放置しているのではないか」というネットユーザーのコメントもあった。その可能性は否定できないが、それを確認する方法は今のところない。
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