失業率の上昇、地方政府の債務危機、そして外資の撤退――。表面的な繁栄を見せていた中国経済は、今や終焉のときを迎えつつある。
「社会主義をやっていれば、ダメに決まっている」。こう指摘するのは、アジア太平洋交流学会の澁谷司会長だ。現在の中国共産党は経済が失速するなか、ますます独裁色を強めている。当局は景気刺激策を打ち出しているが、焼け石に水だという。
地方政府は財政破綻のリスクを抱えており、中国社会を揺るがす時限爆弾となっている。深刻な財政難に直面する天津市などでは、公務員の給料未払いも発生している。山東省の警察組織は規模を縮小し、広東省では公務員の年金が三分の一をカットされている。
さらに、地方政府が出資した投資会社「融資平台」もほとんど破綻状態にある。融資平台が破綻すれば、地方政府に貸し出している銀行も貸し倒れを起こし、大損失を被る恐れがある。
澁谷氏は、中国の銀行のおよそ80%が不良債権を持っているとの情報もあるとし、金融危機のリスクが高まっている、と指摘した。
国際経済が危機に陥る一方、中共党首の習近平は他国を引き寄せるためにお金のばらまきをしている。
北京冬季五輪や一帯一路サミット、そして今年5月に開催された中国・中央アジアサミットなどのプロジェクトにおいて、すでに「9兆円か10兆円が費やしされた」とし、「このような無駄遣いをしていては、当然のことながら、中央政府にもお金がないわけだ」と澁谷氏は語る。
さらに、「習近平は「太子党」ファミリーの資産、3分の1以上の上納を強制した。そして、もし支払わない場合には、あらゆる手段を採ると脅している」と付け加えた。
3年間続いた「ゼロコロナ」政策も、中国経済に深刻な打撃を与えた。外資の中国直接投資は今年7〜9月に、118億ドルのマイナスとなった。データがある1998年以降で初めてのことだ。
米国の資産管理会社バンガード・グループと世論調査会社ギャラップは中国オフィスの閉鎖を進めている。ガーソン・レーマン・グループ社は中国事務所のスタッフの削減を開始した。中国日本商会が9月に実施したアンケートでは、「今年は投資しない」「前年より投資額を減らす」と回答した企業が計47%に上った。
7月に施行された改正反スパイ法も、外資の撤退に拍車をかける。今年3月にはアステラス製薬幹部が拘束され、10月に逮捕された。これまで、反スパイ法で拘束された日本人は18人に及ぶ。
現在3万社ほどの日本企業が中国に進出しているが、経済の悪化や恣意的な法執行など、彼らが直面するチャイナリスは深刻化するばかりだ。
澁谷氏は、こうした中、「いきなり中国経済が崩壊してしまう前に」早期撤退することを強く勧めた。近年日本との関係を強化しているベトナムやインドなどを代替地としてあげた。
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