路線バスが学校へ突っ込み、生徒多数が負傷 また社会報復か?=中国 四川

2023/12/16
更新: 2023/12/16

現在の中国では、経済不況などの外的要因ばかりでなく、社会に充満した「戻気(リーチー・邪気)」の影響により、さまざまな凶悪事件が発生しやすくなっている。なかでも、社会報復を狙ったとみられる無差別殺傷事件が相次いでいる。

今月13日、四川省資陽市安岳県にある中学校の校門近くで、路線バスが猛スピードで生徒の群れに突っ込む事件が起きた。町のバスが、前途ある中学生を狙って突っ込んだのである。

生徒が多い時間を狙ったか

事件が起きたのは午後6時ごろ、生徒たちが補習授業や自習時間を終えて、下校するピークの時間にあたっていたため、多数の生徒が負傷した。

バスに轢かれ、複数の生徒がうめき声を上げながら地面に倒れ込んでいる様子を映した動画がネットで拡散された。しかしその後、事件関連の情報は中国のネットから消えている。検閲に遭っている模様だ。

中国メディアの取材に応じた付近の商店のオーナーは「事件は、ちょうど下校時間のピークにあたる午後6時頃に起きた」と語った。生徒を轢いた後、バスは少し離れた場所に止まり、運転手は公安に逮捕されたという。

「数人の生徒が重傷を負った様子だった。あとからやってきた救急車によって、重傷を負った生徒たちは病院に運ばれた」と同オーナーは明かした。

中国メディアは「現場には、秩序を維持するために大勢の公安と複数の政府部門が駆けつけた」と報じていたが、具体的な負傷者数や死者の有無についての言及はなかった。

事件関連のトピックスは、一度は中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチ入りしていた。しかし、程なくして、ホットリサーチを取り消され、事件の関連報道までもがネットから削除されている。当局が「世論の安定」を図り、検閲を開始したと思われる。

「社会報復」どこまで続く

今回の事件で、犯人の動機などはまだ明らかになっていない。しかし、どこの地方政府も深刻な財政危機に陥っている今日、給料が長く支払われていないなどの理由により、路線バス運転手が抗議やストライキを起こす事件が各地で起きている。

そのような背景もあり、路線バスが学校を狙って突っ込み、多数の生徒をはねた今回の事件が「運転手の給料未払いと関係があるのではないか」と疑う世論が根強い。

事件が起きた2日前の12月11日、遼寧省遼陽市でも、市の路線バスの運転手たちが集団で賃金の支払いを求める動画がネットに拡散されていた。運転手たちによると、「かれこれ9か月、賃金を支払われていない。もはや食うことにも困っている」という。

 

(2023年12月13日、四川省資陽市安岳県にある中学校の校門近くで、路線バスが猛スピードで生徒の群れに突っ込む事件が起きた)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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