「この家あげます」まで出現 暴落しても買い手なし、墓場と化した中国不動産市場

2023/12/06
更新: 2023/12/06

このごろ、上海や広州をはじめとする中国の一線都市で「所有する物件を無料で譲渡する」現象が相次いでいる。

そこには、急落する中国の不動産市場にもはや希望を見い出せないことから、損失覚悟で「物件を譲渡せざるを得なくなっている人が多い」とアナリストは分析する。

最近、上海市宝山区にある不動産(住宅)の所有者が出した、ある広告がネット上で拡散され、物議を醸している。その広告は、自身が所有する不動産を売りに出すものだが、驚くのは、その購入者に「住宅の頭金をプレゼントする」という内容だ。

この所有者によると、せっかく自身が購入した家を売りに出す事情は、以下の通りだという。

「2020年に、この家を購入した。そのときの価格は265万元(約5460万円)で、そのうち頭金は93万元(約1916万円)だった。残余の支払いは、住宅ローンの172万元(約3543万円)およびリフォームローンが30万元(約618万円)だ。ところが今では、給料が大幅カットされたため毎月のローンの支払いができなくなった。今後、残りのローン返済を引き継いでくれる人がいたら、直接譲渡する」

つまり、この住宅所有者は、自身が初めに払った頭金とこれまでのローン返済分を完全に放棄して、とにかく「残りのローンだけ」を引き受けてくれる人がいるなら「この家を、あげます」と言っているのだ。

NTD新唐人テレビの記者は12月5日、上海の複数の不動産仲介業者に電話して、市場の状況について尋ねたところ「今、住宅の価格は暴落している。40%~50%下落しているが、それでも取引件数は非常に少なく、買う人はほとんどいない」という。

しかも不動産価格の下落は、現在進行形で続いている。このような状況は「上海に限らず、中国全体がそうなっている」と、取材に答えた不動産仲介業者は嘆いている。

11月初めの広州でも、同じく「残りのローンを引き継いでくれる人がいれば、無条件で譲渡する」と広告を出す不動産所有者が現れていた。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。