五つ星ホテルで宿泊中「ヘビに噛まれる」 部屋は30階、ホテル側の対応にも不満=上海

2023/12/05
更新: 2023/12/06

そこは確かに、2500元(約5万円)をかけて宿泊した上海の高級ホテルであり、しかも地上30階の部屋であったはずだ。

その部屋で、宿泊客が就寝中に「ヘビに噛まれる」という奇怪な事件が起きた。その不可解さとともに、事件後のホテル側の不誠実な対応も含めて、ネット上では物議を醸している。

被害を受けた成都市民の呉さん(女性)は今月2日、SNSを通じて自身が受けたこの不愉快な体験を暴露した。事件は11月29日、上海の定番の観光スポット「外灘(ワイタン)」に位置する42階建ての五つ星ホテル「W上海-外灘(中国語:上海外灘W酒店)」で起きたという。

呉さんによると、事件の概要はこうだ。29日午前10時頃、すこし遅く目を覚ましたところ、突然左腕あたりを何かに噛まれたような感覚を覚えた。呉さんは、思わず右手伸ばして捕まえようとしたら、冷たくてヌルヌルした「長い生き物のようなもの」を握ってしまった。

手につかんだものが、動いた。「だ」とわかった瞬間「ギャー!」。驚いて、捕まえた蛇をベッドの下に投げ落とした。「確かに蛇だった。体長30~40センチほどはあった」という。

それから呉さんが部屋の照明をつけると、蛇はすでにベッドの下に潜り込んでいた。蛇の尾が、少しだけ見えていた。蛇の柄はおそらく「白黒の縞模様」だという。

女性はすぐにホテルフロントに電話かけて「いま自身が蛇に噛まれたこと」を告げた。しかし、10分後に部屋にやってきたホテル従業員がベッドのマットレスを裏返すなどして探しても、ヘビは見つからなかった。

事件の後、ホテル側は呉さんを近くの病院へ連れて行った。診察した医師からは「おそらく毒を持たないヘビに噛まれたのだろう。大事に至ることはない」と告げられたという。

この日、呉さんは仕事の都合で成都へ帰る必要があり、上海を離れなければならなかった。ホテル側は、その日のうちに呉さんの宿泊代の2500元を返金したが、補償の問題について双方の合意は得られなかった。

呉さんによると、ホテル側は「蛇は見つからなかった。そのため、保険会社が補償責任を負う」と主張。いっぽう、保険会社側は「医療費の300元(約6千円)しか支払えない」という。

その後、ホテル側は「もう1泊の無料宿泊」か「2万ポイント加算」または「無料のディナーとスパ」の3つの代替案を提示した。しかし、いずれの提案も呉さんは承諾しなかった。するとホテル側は、増額した「4万ポイントの加算」または「当ホテル以外の、他のホテルにも宿泊できる」との再提案まで出してきた。

呉さんが承諾しなかった主な理由は、先に条件を提示して顧客のクレームを封じようとするホテル側のやり方に対して「とても不満だったから」という。

彼女によると「私の要求はとてもシンプルだ。第一に、ホテル側が誠意ある謝罪をすること。第二に、蛇がなぜ出てきたのかを調べて、他の宿泊客が同じ被害に遭わないようにしてほしいだけだ」という。

つまり「金銭の補償よりも、きちんと誠意を示してほしい」というのが彼女の言い分なのだが、ホテル側の対応はそうではなかったようだ。

場所は田舎ではなく、大都会・上海の中心部である。そこに野生の蛇がいる可能性がどれほどあるのか不明だが、そもそも地上30階の部屋まで、物好きな蛇が自分で登ってくるとは、さすがに考えにくい。では、以前に宿泊した誰かが蛇を持ち込み、この部屋に残していったのか。

この不可解な「ヘビ事件」の後、同ホテルの従業員はメディアの取材に対して、「当該の部屋は封鎖した。異物が存在したという痕跡は見つかっていない。事件はまだ調査中だ」と述べた。

同ホテルは、プールやジム、レストラン、会議室などを備えた、五つ星の高級ホテルである。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。