英国のAIチップメーカーである「グラフコア(Graphcore)」は、最近米国が導入した輸出規制のため、高度な技術製品の中国での販売に制限がかかり、中国市場から撤退し、中国における従業員の大部分を解雇することを決定した。
グラフコアのスポークスパーソンは電子メールで、米国の輸出規制が同社の中国へのAI高性能チップおよび関連ビジネスの輸出に影響を及ぼすため、「中国での業務を大幅に縮小する」と述べた。解雇する中国の従業員数については公表していない。
同スポークスパーソンは、「他の地域でAIコンピューティングの需要が増加していることを考慮し、グラフコアは世界中の顧客と協力し、高性能で効率的なGPU(画像処理装置)の代替品の需要に応える」と述べた。
グラフコアの最高経営責任者(CEO)であるナイジェル・トゥーン氏は以前、特に貿易戦争によるエヌビディア(NVIDIA)の中国での販売制限を考慮に入れ、中国を潜在的な成長市場と見ていた。10月のブルームバーグ技術会議で、トゥーン氏は中国の売上が同社ビジネスの20~25%を占めていると発言した。
2016年に設立されたグラフコアは、AIソフトウェアを支援するチップセミコンダクターの設計に特化している。近年、市場はエヌビディア製品に対する高い需要に対応するための代替案を積極的に求めており、グラフコアはテクノロジー業界のベンチャーキャピタルから注目を集めている。
2020年には、グラフコアは28億ドル(約4187億2289万円)の評価額で2億2200万ドル(約331億9874万円)の資金を調達し、英国で最も有望なスタートアップ企業の一つとなった。
しかし、グラフコアのビジネスは苦戦している。文書によれば、グラフコアの2022年の収益は46%減少し、損失は11%拡大して2億460万ドル(約305億9711万円)に達した。10月には、運営を続けるための資金調達が必要であることが明らかになったが、それ以来、新たな資金調達の発表はない。
「サンデー・タイムズ」によると、グラフコアの主要な投資者の一つであるセコイア・キャピタルは、グラフコアへの投資の価値を引き下げ、その株式価値をゼロと見積もった。
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