終わらぬ閣僚更迭劇 中南海で大粛清

2023/10/28
更新: 2023/10/28

李強首相が危ない立場?

10月24日、中国の李尚福国防相が解任された。財政部長、科学技術部長など重要閣僚が交代し、1か月以上空白だった軍事法院院長の後任も決まった。軍事法院院長の交代によって、習近平氏は軍関連事件の審理を加速させ、大勢の中国軍高官が刑務所に送られるだろうと考えられている。

10月24日の中国共産党(中共)人民代表大会常務委員会の公告によると、劉少雲氏は軍事法院院長に任命された。元軍事法院院長の程東方氏は9月1日に解任されたが、彼が就任したのは昨年12月末だった。程氏の解任理由は公表されていない。

中共軍政の事情に詳しい香港「文匯報」元記者の姜維平氏は、程氏が退任した理由について、「習近平氏が軍隊で行っている大規模な粛清において、軍事法院院長の役割は重要だ。習氏は程東方氏の政治的立場を信用していない」と説明した。

今年に入って、ロケット軍元司令官である李玉超をはじめ、中国軍高官が調査を受けているとの報道が相次いでいる。元中国メディア関係者の趙蘭健氏によると、李尚福国防相が逮捕された後、取り調べの過程で、装備調達部門の高官8人を供述したという。

中国問題専門家の秦鵬氏によれば、李尚福が取り調べを受けたら、多くの中国軍装備調達部門の高官は監獄に送られることになる。新たな軍事法院院長が就任した後、習近平氏の意向に従って、これらの高官の事件審理は、速やかに終るだろうという。

財政部長、科学技術部長も交代

同日に、習近平氏は主席令に署名し、阴和俊氏を科技部長に、蓝仏安氏を財政部長に任命した。財政部と科技部が同時に人事更迭を行ったことは、外界を驚かせた。特に、蓝仏安氏は約20年の財政関連の仕事経験はあるが、中央政府での仕事経験はない。

コメンテーター王赫氏は、このように指摘した。

「中共の歴代の財政部長の経歴と比較すると、蓝氏のキャリアは足りない。中央政府の財政部長はさまざまな部署とやり取りをしなければならないので、中央での勤務経験がないことは、実際には厄介なことだといえる。では、なぜ蓝氏が財政部長に任命されたのか? これは、習近平氏の人事選考の特徴を示しているのだ。キャリアは重要ではなく、習氏に従い、その方針を無条件に実施することが要求されていると言える」

今回の人事更迭において、外界は李強首相が最も「ダメージを受けた」ことに注目した。閣僚である5人の国務委員のうち、2人が解任された。国防部、外交部、財政部の最重要3部門が頻繁に人事異動を繰り返し。 李強氏は名目上、依然として習近平氏の側近だが、実際には「疎外」されている。

10月24日、習氏と何立峰副首相が中国人民銀行(中央銀行)と国家外匯管理局を訪問した。知られている限りだが、現在の経済状況に対する緊張を浮き彫りにした。

慣例上、中央銀行視察は首相が主導する。李強首相の権力が削がれ、習氏に疎外されていることは、彼の立場が危ういという憶測を煽っている。