中国の国家重点大学(現在112大学)の一つ「合肥工業大学」で今月26日、殺人事件が起きたとネットで噂になっている。加害者と被害者、いずれもこの大学の学生である模様。しかし、地元警察は「寮で学生1人が自殺した」と公表したため、ネット上では物議を醸している。
このほど、安徽省合肥市にある同大学で「ある学生が、夜に宿舎の上の階でボール遊びをしていた学生3人に腹を立て、ナイフで刺殺した」とする投稿とともに、現場に到着したパトカーや救急車を映した動画などが中国のSNSで拡散された。
この「合工大(合肥工業大学)」のトピックスは、一時ウェイボーのホットリサーチ入り(26日)したが、まもなく当局により削除された。
中国のネットでは現在、この事件に関しては「極目新聞」1社による簡潔な報道があるのみで、その他の事件関連の情報や画像などはウェイボーなどで検閲対象になっている。同大学で「何らかの事件」が起きたことは事実だが、当局がその報道を規制し、真相を隠蔽しているとみてよい。
中国政府は一貫してネガティブなニュースを隠蔽し、「今の中国の情勢は、すばらしい」という幻想を意図的に作り上げようとしてきた。そのため、たとえそれが真実であったとしても、すぐに「デマ」のレッテルを貼られて隠蔽される。
さらに当局は、真実を伝えようとする人物に対して「国家政権転覆扇動罪」などの罪名を乱用して、恣意的にその人を処罰してきた。
しかし今は、国民も中国政府の手口を次第に認識するようになってきた。そのため、当局による「公式発表」を信じない人が増えている。
今回の「合工大」の事件の真相は、現在のところ闇に葬られた状態にある。しかし、殺人にしろ、当局のいう「自殺」にしろ、将来に希望をもつはずの若者が亡くなった事実に変わりはない。
この事件は、若者を取り巻く今の中国社会の生き辛さとともに、真相をことごとく隠蔽する不条理を改めて浮き彫りにしたと言える。
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