偽造大国とはいえ「まさかここまで?」 中国製巻き尺は目盛りがデタラメ

2023/10/11
更新: 2023/10/11

なにしろ「偽造大国」「違法コピー商品(海賊版)の生産地」「不良品の製造元」として、世界にその名(悪名?)を馳せた中国である。

もはや多少のことは驚かないつもりだが、筆者(李凌)が、この画像をSNSで見てしまったときは「いくらなんでも、これはないでしょ!」と思わず口走ってしまった。

その衝撃的な画像というのは、中国製の5種類の「巻き尺(メジャー)」である。建築現場などでおなじみの道具であるが、問題はその5種類の目盛り部分だ。

よく見ると、例えば「10㎝」の目盛りのところでは、5種類のうち、同じ位置にあるのは3つで、他の2つ(上から2番目と3番目)は、なんと約1センチずつ前や後にズレているではないか!

「なるほど、メートル法に基づく定規の長さは、世界共通ではなく、中国だけ例外だったのか!」

新しい発見は、こちらの常識を見事に打破してくれた。この中国製巻き尺の「衝撃的事実」について、筆者の建築関係の友人は「これには、恐怖すら覚えたよ」といった。

建物づくりをするうえで、巻き尺は実によく使われる必需品だ。職人用の高級な大工道具は別として、巻き尺ぐらいならば、日本製より安い「中国製」を使っている日本の職人さんも少なくないのではないか。

しかし仕事上、頼みとする巻き尺に「ウソ」があったのでは、図面上の寸法とどう合わせればよいのか。確かにこれは、恐怖すら覚えるほどの「一大事」である。

このような「インチキな中国製巻き尺」が、中国でどれほど売られているか。日本にどれだけ入ってきてしまったかは、分からない。

ただ、この画像を見てしまった以上、もしも手元に中国製の巻き尺などがあれば、信頼できる日本製と比べて、今すぐに確認する作業が必要のようだ。

紀元前の中国で、歴史上、最初に中国を統一したのが「秦の始皇帝」であることは、よく知られている。その始皇帝の功績の一つとして、度量衡(どりょうこう)の基準を定めたことが挙げられる。

度は長さ、量は体積、衡は重さを指す。秦以前には各地ばらばらであった「ものを測る基準」を、始皇帝の時代にきちんと定めたことで、国家としての経済が形成された。物差しの目盛りがまちまちでは、堅固な建築も土木工事もできない。そういう意味で、度量衡の制定は国家の基本なのだ。

つまり、巻き尺の目盛りを正確にすることは、まことに大きく言えば「国家の責任の一つ」ということになる。

しかし、今の中国共産党に、そうした責任をともなう政治を期待することは「ないものねだり」である。目盛りの不正確な「中国製巻き尺」を生み出したのは、まさにその共産党支配下の中国なのだ。中共に「正しさ」を求めても、土台無理なことである。

この「インチキ巻き尺」ができたのは、単なるミスか、故意かは分からない。ただ、不良品であることを知りながら「ばれないうちに、早く売ってしまえ」で市場に出されたものに違いないのだ。つまり、そういう倫理観が欠如した社会の産物であることは変わりないだろう。

「偽造大国」のやることは、時として、こちらの想像を超える。せっかく建てた日本の家が傾いては困るので、すべからく、注意が必要である。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。