虚飾まみれの中国経済 国際展覧会に「外国人のサクラ」で盛況を演出? 

2023/09/19
更新: 2023/09/19

先月、当局による「人工的な洪水」で大被害を受けた河北省であるが、同省の邢台市ではこのほど、自動車部品の万博「邢台国際博覧会」が行われた。

ところが、場内が盛況であるように見せるため、多くの外国人が「サクラ」として雇われていたことが噂に流れ、そのことで注目されている。「外国人のサクラ」の日当は500元(約1万円)だという。

「外国人サクラ」はパキスタン

今月8日(~10日)に邢台市で開催された「2023河北邢台国際汽車配件及後市場博覧会」について、多くの中国官製メディアが大々的に報道するなどして宣伝をしていた。しかし、実際に出展する外国企業はごくわずかしかなく、報道に使用された会場内の写真に映る来場者はほとんどが中国人だった。

イベント終了後、民間での噂として「主催者側は展覧会の初日に、外国人をサクラに雇って客のふりをさせた」とする話が拡散された。

広がった情報によると「外国人サクラ」のほとんどがパキスタン人であり、日当は1人につき500元(約1万円)。日当のほかに「食事と宿泊つき」というから、このアルバイトは悪い条件ではないようだ。関連投稿には「彼らがサクラであるのは、見え見えだったよ」とするコメントも少なくない。

SNSには「雇われたサクラ」とされる外国人集団が、レストランで食事をする動画も拡散されている。そうしたことから、この「噂」の信ぴょう性は高いらしい。

 

同博覧会の初日にライブ放送をしたティックトックアカウント「@河北環展外貿」の女性キャスターは「主催側は200人以上の『外国人ビジネスマン』を会場に招待している。ほとんどがパキスタン人だ」と紹介していた。

しかし、場内を映すカメラは始終演壇に向けて固定されており、それ以外の出展ブースに向けられることはなかった。女性キャスターも「皆さんの来訪を歓迎します」とは言ったものの、何やら苦い表情で、そそくさと報道を終わらせた、という様子だった。

経済的にも技術的にも発展途上国であるパキスタンは、中国からの資金援助と引き換えに国際舞台で中国政府の政治的主張を支持してきた。そのため、中パ両国は長年にわたり密接な関係にある。

しかし、本来は新しい商談のチャンスになるべきこうした展示会が、ホンモノの来客がほとんどなく、雇ったサクラばかりが場内にいるという。これは一体、何のために行うイベントなのか。

中国の展覧会に「サクラはよく現れる」

中国政府は「中国経済が繁栄している」という幻像を作り出すことに、愚かしいほど躍起になっている。

そのため、さまざまな「国際博覧会」や「貿易展示会」を開催し、その盛況ぶりを無理やり演出するのだが、そこにはもはや多くの人や企業が集まる活気は微塵もない。そのため「虚偽の宣伝によって各社を騙し、出展させるブース料稼ぎが目的だろう」と非難される展覧会が後を絶たないことになる。

高額なブース料を払って出展したものの、会場はガラガラで来場者がほとんどいなかったり、人がいてもサクラ(偽の客)だったりする。そこで出展者が主催側に抗議すれば、武装した警察によって鎮圧されるのがオチで、そのような事件はこれまでに数多く起きている。

例えば、今年4月15日に広州で開催された貿易展示会「第133届中国進出口商品交易会」では、開催側が見せかけの「盛況ぶり」を演出するために「来場者」をあえて入口で足止めさせていた疑いがもたれている。

官製メディアはその「盛況ぶり」を報道して宣伝していた。ところが「外で並んでいたのは、主催側が雇ったサクラだ。並ぶだけが仕事で、彼らは入場しない」と、事情を知るネットユーザーが暴露したのだ。

今年4月15日に広州で開催された貿易展示会「第133届中国進出口商品交易会」。会場内は人が少なく、ガラガラだった。(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

同じような光景は、浙江省で今年4月に開催された「緑色建築建材展覧会」でも見られた。こちらの展覧会も来場者はほとんどいなかったため、主催側は臨時の「役者」を雇って盛況を演出した。

その悪質な手口に気づいた一部の出展企業は「騙された」と憤慨し、同月19日に展覧会場の通路で抗議デモを行った。抗議者側は「(主催者は)詐欺師だ」「出展料を返せ」などと叫び、主催側と衝突を起こしていた。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。