【中山泰秀元防衛副大臣】「北朝鮮ですら国連に参加」 台湾の地位向上こそ急務

2023/09/16
更新: 2023/09/14

日本は台湾(中華民国)と日華平和条約を締結していたが、米国のニクソン政権が中国共産党を政府承認すると、「たった1秒も審議にかけずに潰してしまった(中山泰秀氏)」。北朝鮮ですら国連に参加しているのに、なぜ台湾は席を置いていないのか。

幼い頃、父のあぐらのなかで台湾との友好関係を聞いて育ったという中山氏が、台湾への熱い想いを語った。

——故・安倍元首相は「台湾有事は日本有事」と語った。戦後の日台関係はどのようなものだったのか。

日本は1945年8月15日に終戦を迎えた。1951年のサンフランシスコ平和条約で独立を回復し、翌年には台湾と日華平和条約を締結した。

ともすれば、隣の朝鮮半島と同じように、北はソ連、南は米国という形で分断されていてもおかしくなかった。そのとき、蒋介石総統は「恨みで報るのではなく、徳を持って日本に接しなさい」との考えのもとリーダーシップを発揮し、日本の分断を防いだ。

しかし、米国のニクソン政権が中国共産党に接近し、「一つの中国政策」を認めると、日本もそれに追随した。自由と民主主義を掲げる日本が、中国共産党一党独裁の国家と平和友好条約を結んだ。

日本人と同様、台湾の人々も自由と民主主義を愛している。にもかかわらず、当時の国会は日華平和条約をたった1秒も審議にかけずに潰してしまった。

平和友好条約は本来、交戦国同士が締結するべきものだ。日本が戦ったのは蒋介石率いる中華民国であり、中華人民共和国は1949年に初めて歴史の舞台に登場した。したがって、終戦の4年後にできた国と平和条約を締結するのは、かなり話が違うのではないか思う。

中山泰秀元防衛副大臣は取材に対し、コロナ禍で真っ先に警鐘を鳴らした台湾を国際会議から排除してはならないと強調した(Wenliang Wang/大紀元)

——日本と台湾は自由と民主主義、法の支配といった普遍的価値を共有している。

日中友好条約は常識を大きく覆すものであり、条約史上における大きな汚点だと指摘する声もある。大戦後の複雑な歴史が逆にバネとなり、日台関係をさらに深化させると展望する。

ロシアではブリゴジン氏が乗った飛行機が突然墜落し、中国では日本人が恣意的に拘束されている。21世紀において到底許されない行為を繰り返す中露を前に、日本は自由と民主主義を愛する世界中の人々と連帯していく必要がある。

故・安倍晋三元首相は「台湾有事は日本有事」と指摘したが、まさにその通りだ。日本が消費するエネルギーや食糧資源の多くは台湾周辺海域を通って運ばれているため、日本と台湾はまさに一心同体だ。

私の父親は「日中友好条約」に反対した5人の政治家のうちの一人だった。幼い頃、父親のあぐらの中で台湾に関する話を聞いて育った。その影響もあって、1972年、私は初めての海外旅行先として台湾を選んだ。

その台湾が今、目に見えない脅威にさらされている。台湾の先人たちの日本に対する恩義を、今度は私たちが報いる番だ。安倍元首相や麻生副総統の発言のルーツは、実はそこにあるのではないのだろうか。同じルーツを持つ政治家として、私もそのように考えている。

——日中・日台関係のあるべき姿とは。

中国とは是々非々で付き合っていくべきだ。外交では、正しいことは正しい、間違っていることは間違っていると主張する。明哲保身の姿勢が大事だと思う。

国連でのあり方についても再考すべきではないだろうか。北朝鮮ですら国連に参加しているのだ。世界中の人々の前で平和的に問題を処理するのが常識だ。にもかかわらず、台湾はなぜ国連にいないのか。なぜ、WHOに参加できないのか。

中国・武漢から世界中に広がった新型コロナウイルスによって、多くの尊い命が失われた。ウイルスについて一番最初に国際機関や各国に警鐘を鳴らしたのは、他でもない台湾政府だったではないか。そのような貴重な提言をしてくれる台湾が、ロシアによるウクライナ侵攻のように、どこかの国に飲み込まれるようなことがあってはならない。

(つづく)

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
政治・安全保障担当記者。金融機関勤務を経て、エポックタイムズに入社。社会問題や国際報道も取り扱う。閣僚経験者や国会議員、学者、軍人、インフルエンサー、民主活動家などに対する取材経験を持つ。