米国のシンクタンク・ランド研究所は、中国はChatGPTのような生成AIツールを使って世界中の人々を操る方法を研究していると警告した。
これらの生成AIツールは、各界の台湾に対する見解に影響を与えるために使用される可能性がある。
米メディア「Defense One」が報じたところ、ランド研究所のアジア安全保障問題の専門家であるネイサン・ムスタファガ氏は、論理的に言って「私たちは中国(共産党)の次の目標が2024年の台湾総統選挙と考えている」と述べた。
ランド研究所の報告によると、外国の世論を変更または操作するためのテクノロジーの使用に関する中国の研究は、少なくとも 2005 年に遡る。当時、中国軍は「合成情報(synthetic information)」を作成したいと考えていた。
具体的に述べると、悪意のある目的で、オンラインに拡散されることを意図したあるオリジナル情報を使用して、本物ではないコンテンツを作成する。
中国共産党(中共)はネット検閲や外国メディアの遮断に取り組んでいたため、兵器化されたディスインフォメーション(意図的に流布される虚偽情報)の分野で遅れをとっていた。
報告書には「生成AIの大規模言語と外国の文化的ギャップを埋めることができるようだ。ただし、生成AIは膨大な量のトレーニングデータに依存しており、中共軍の研究者たちは、内部データ共有の欠如についてさえ不平を言っている」と、書かれている。
中国政府は少なくとも2016年以降、ソーシャルメディアを使って台湾政治に干渉していることは既に知られている。
中共は可能であれば非軍事的な手段で台湾統一を実現しようとしている。そのため、台湾の選挙結果を、中国政府の統一をより好意的に捉える台湾の政治家に向けたいと考えている。
生成AI がどのように台湾に対する世論に変化や影響を与えるのか?
生成AIは、特定の意見や考えを持っているように見える大量の架空の人物を作ることに役立つ。
これにより、実際には支持されていないにも関わらず、ある特定の意見や視点が、何らかの人気のあるサポートを受けているという印象を作り出す可能性がある。
ランド研究所の国家安全保障と防衛政策プログラムのヘザー・ウィリアムズ氏は「さらに、生成AIを使って、似て非なるニュース記事、研究論文を非常に簡単に作成することができるだろう」と指摘している。
またランド研究所の研究者たちは、台湾が主要な標的になることを示す具体的な情報はないと述べてはいるが、米国当局者は、中国による台湾侵略が2027年までに起こる可能性があると警告している。
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