今月8日、かつてインターネット上で「新型コロナは中共ウイルスだ」と発言したため、中国当局によって拘束されていた陳兆志元教授(今年71歲)が、「騒乱挑発罪(寻衅滋事罪)」で懲役3年6カ月の判決を言い渡されたことがわかった。
ただし陳氏は、すでに約3年6カ月拘束されていたため、判決の翌日に刑期は満了している。
高齢の陳氏は獄中で健康状態が悪化し、アルツハイマー病もひどいため、今はコミュニケーションをとることすら困難な状況だという。陳氏の出所後の生活が懸念される。
中国の人権活動を支援する海外サイト「維権網」によると、陳氏は北京科学技術大学を定年退職した教授で、中国で初めて知的財産権を擁護した人物と言われている。
陳氏は、六四天安門事件の被害者のために声を上げたり、中国共産党幹部の資産公開を求めるなど、体制への不満を公に表明してきたために多くの弾圧を受け、これまで何度も逮捕されている。
中国武漢で疫病が発生した2020年初頭、中国政府はこの病原ウイルスを「新型コロナウイルス(新冠病毒)」と命名した。
この件をめぐり、陳氏は同ウイルスの発生源について「これは武漢肺炎であり、病原は中国共産党が作ったものだ。だから中共ウイルスだ」などと歯に衣着せぬ直言をするとともに、中国政府による感染状況の隠蔽や対応のまずさについても批判してきた。同年3月、陳氏は「騒乱挑発罪」で北京の拘置所に収監された。
陳氏の弁護士である馬綱権氏は2021年、米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に応えて「彼(陳兆志氏)は1日も監禁されるべきではない」として、次のように述べた。
「中国の憲法は、国民に言論の自由があると定めている。彼(陳兆志氏)は個人的な意見を述べただけであり、これは憲法第35条で国民に与えられた権利だ。公安当局には彼を逮捕する権限はない。彼は1日たりとも投獄されるべきではなかった」
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