中国南部の福建省で、台風9号および11号がもたらした豪雨の影響により大規模な洪水が発生。多くの道路が寸断され、浸水や家屋の倒壊などの被害が出ている。
中国メディアによると、同省福州市では6日午前時点で、約150の村に住む約5万人が被災し、3万6000人が緊急避難を余儀なくされた。また現在のところ、市内で住民の救助にあたっていた要員のうち「消防隊員2人が死亡。警察官1人が行方不明」と報じている。
ただし、中国で公式発表される死亡者数などの数値については、最近の河北省の例「洪水による死亡者29人」をみても分かるように、必ずしも実態を伝えていない可能性が高い。
福州市内の地下鉄も6日に運行停止になった。その後、運行再開の発表があったが、一部の路線は依然として運休状態にある。
ネットに流出した現地の様子を捉えた動画のなかには、道路が「川」のようになった福州市内の様子があった。
多くの車が水に浸かり、水深は人の腰以上まで達するところもあった。また、人が乗っていると思われる自動車が、そのまま水に流されていくシーンもある。
それを見た市民が、車内の人に向かって「早く、外に出てきなさい!」と必死で呼びかけている。その人の生死は、その後どうなったのだろうか。感電死したと思われる遺体が、水に浮いている場面も動画に映っていた。これらはもちろん、殉職した「消防隊員2人」ではない。
福州市民の雷さんによると、「市内では、多くの集合住宅で断水や停電が起きており、市民生活に大きな不便をきたしている」という。
今回の災害は「今までにないほど最悪だ」と嘆く地元市民もいる。そのなかで「排水システムが崩壊した上に、政府による警報の遅れが重なり、災害を深刻化させた」とする怒りの声が上がっている。
いっぽう、地元政府は「まるで恒例行事のように」被災地の実態が外部に漏れないよう、情報封鎖に躍起になっているようだ。すでに市内の災害状況をライブ配信するSNSアカウントが、大量に封鎖されたことが明らかになっている。市民からは「ああ、ついに来たか。いつもの手だな」の声が。
こうした政府の情報封鎖に対して、「問題が起きるたびに、政府は問題を解決するのではなく、問題提起する人をまっ先に解決する。これが最も手っ取り早い問題解決方法だ」「誰も何も言わなければ、問題など、そもそもなかったことにできるからな」といった市民からの批判が殺到している。
(福建省の洪水状況、NTD新唐人テレビの報道番組)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。