中国南部で大規模な洪水 政府は「いつも通りの情報封鎖」に躍起

2023/09/07
更新: 2023/09/07

中国南部の福建省で、台風9号および11号がもたらした豪雨の影響により大規模な洪水が発生。多くの道路が寸断され、浸水や家屋の倒壊などの被害が出ている。

中国メディアによると、同省福州市では6日午前時点で、約150の村に住む約5万人が被災し、3万6000人が緊急避難を余儀なくされた。また現在のところ、市内で住民の救助にあたっていた要員のうち「消防隊員2人が死亡。警察官1人が行方不明」と報じている。

ただし、中国で公式発表される死亡者数などの数値については、最近の河北省の例「洪水による死亡者29人」をみても分かるように、必ずしも実態を伝えていない可能性が高い。

福州市内の地下鉄も6日に運行停止になった。その後、運行再開の発表があったが、一部の路線は依然として運休状態にある。

9月6日、入口が閉鎖された福州市の地下鉄。(CFOTO/Future Publishing via Getty Images △)

ネットに流出した現地の様子を捉えた動画のなかには、道路が「川」のようになった福州市内の様子があった。

多くの車が水に浸かり、水深は人の腰以上まで達するところもあった。また、人が乗っていると思われる自動車が、そのまま水に流されていくシーンもある。

それを見た市民が、車内の人に向かって「早く、外に出てきなさい!」と必死で呼びかけている。その人の生死は、その後どうなったのだろうか。感電死したと思われる遺体が、水に浮いている場面も動画に映っていた。これらはもちろん、殉職した「消防隊員2人」ではない。

福州市民の雷さんによると、「市内では、多くの集合住宅で断水や停電が起きており、市民生活に大きな不便をきたしている」という。

今回の災害は「今までにないほど最悪だ」と嘆く地元市民もいる。そのなかで「排水システムが崩壊した上に、政府による警報の遅れが重なり、災害を深刻化させた」とする怒りの声が上がっている。

いっぽう、地元政府は「まるで恒例行事のように」被災地の実態が外部に漏れないよう、情報封鎖に躍起になっているようだ。すでに市内の災害状況をライブ配信するSNSアカウントが、大量に封鎖されたことが明らかになっている。市民からは「ああ、ついに来たか。いつもの手だな」の声が。

こうした政府の情報封鎖に対して、「問題が起きるたびに、政府は問題を解決するのではなく、問題提起する人をまっ先に解決する。これが最も手っ取り早い問題解決方法だ」「誰も何も言わなければ、問題など、そもそもなかったことにできるからな」といった市民からの批判が殺到している。

(福建省の洪水状況、NTD新唐人テレビの報道番組)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。