ワクチン接種者におけるコロナ感染者急増のデータをFDAとCDCが隠蔽:公開文書

2023/09/06
更新: 2023/09/06

2021年に米国でワクチン接種を受けた高齢者の間で新型コロナの症例が急増していたことが、新たに開示されたデータによって明らかになった。米国の保健機関はこのデータを取得していながら一般に公表していなかった。

2021年当時、いくつかの研究が新型コロナワクチンの有効性が低下していることを明らかにした。それを受け、当局はワクチンの追加接種が必要かどうかを検討していた。そこで、米軍からワクチンに関するデータの分析を請け負っていたヒューメトリックス・クラウド・サービス社が分析を行った。

今回新たに開示された文書によれば、高齢者の新型コロナ感染者全体に占めるワクチン接種者の割合が増加していたことに、ヒューメトリックス社の研究者らは気づいていたという。

2021年7月25〜31日の1週間で、ワクチン接種後の新型コロナ症例は65歳以上の患者の73%を占めていた。当時、高齢者の80%がワクチン接種を完了していた。

また研究者らは、早期にワクチン接種を受けた人たちの方が感染率が高いことを見つけていた。3〜4か月前に接種した人に比べ、5〜6か月前に接種した人は感染率が2倍高かったと研究者らは推定している。

データによると、こうした「ブレークスルー感染」の症例は2021年1月から始まっていた。

また研究者らは、入院に対する予防効果が薄れていたことにも気づいていた。

文書によると、2021年7月25〜31日の1週間で、新型コロナによって入院した高齢者の63%はワクチン接種者だった。入院に関しても、早期にワクチン接種を受けた人に対する予防効果は弱かった。

研究者らの計算では、感染に対するワクチン有効性はわずか33%に、入院に対する有効性は57%に低下していた。

一方、以前新型コロナに罹患し、回復した高齢者が入院を回避する可能性が高いことも分かっていた。危険因子には、肥満などの重篤な基礎疾患や85歳以上の高齢であることなどが含まれていた。

このコホート研究は、新型コロナワクチンの一次接種を受けた560万人の高齢者を含む、2000万人のメディケア受給者を対象に行われた。メディケアとは、米国の高齢者および障害者向けの公的医療保険制度だ。

ヒューメトリックス社CEOのベッティーナ・エクスパートン氏は、2021年9月15日に米国食品医薬品局(FDA)の幹部宛の電子メールの中で以下のように述べていた。

「我々の観察研究の結果では、パンデミックのデルタ期における感染および入院に対するワクチン有効性は、ファイザー製ワクチンまたはモデルナ製ワクチン接種後5〜6か月の人では、接種後3〜4か月の人と比較して、極めて有意に減少している」

また、ヒューメトリックス社は、新型コロナのパンデミック開始以来、ワクチン接種者のうち13万3000人が発症し、2万7000人が入院し、8300人が集中治療室に入院していたことに気づいていた。

エクスパートン氏は、同社が2021年8月に米国疾病予防管理センター(CDC)とデータを共有したことを明らかにした。

FDA関係者の一人であるピーター・マークス氏は、「軍が以前にこれを実施していて、CDCがデータを共有してくれていれば良かったのに」と電子メールで述べ、当時のFDA長官代理であるジャネット・ウッドコック氏は、「これは、私たちが持っている他のデータよりも憂慮すべきものだと思う」と返答している。

これらの電子メールは、医療問題の透明性を追求する非営利団体「インフォームド・コンセント・アクション・ネットワーク」が情報公開法を通じて入手した。

同団体の創設者であるデル・ビッグツリー氏は、エポックタイムズに対し電子メールで以下のように述べた。

「これは、いわゆるパンデミックのさなかに貴重な実環境データを評価・共有・公開し、それに基づき決定を下すべき保健当局が働いた怠慢以外の何ものでもない。情報公開法がなければ、一般市民はこのような失敗を知ることすらないだろうし、彼らは同じことを何度も何度もしでかすだろう」

エポックタイムズはFDAとCDCにコメントを求めたが、拒否された。

情報公開法を通じて入手された別の電子メールでは、当時の米国国立衛生研究所(NIH)所長であったフランシス・コリンズ氏が、この研究結果について、「ワクチン有効性が65歳以上の感染と入院の両方に対して、接種後5〜6か月で低下していることを示す、かなり説得力のあるエビデンスだ」と述べている。

さらに同氏は、「3〜4か月後でもワクチン有効性が悪化する傾向がある」と付け加えている。

CDC、FDA、NIHは、新型コロナワクチンの追加接種を推奨するかどうかを検討する際、一般市民にデータを共有しなかった。

CDCは、2021年8月30日に開催したワクチン専門家らとの会議で、ワクチン有効性が低下しているという新たなデータについて説明したが、この軍の研究は含まれていなかった。

FDAも2021年9月17日に同様の会議を開催し、CDCも参加したが、その会議でもヒューメトリックス社の分析結果は発表されなかった。

両機関はパンデミックの間、新型コロナワクチンを積極的に宣伝した。中には、ワクチンが重症化を強力に予防するという虚偽の宣伝すら含まれていた。自分たちのデータがそうでないことを示唆していたにもかかわらずである。

CDCが発表したCOVID-NETのデータは、デルタ株の出現以来、新型コロナに関連した入院に対する有効性は高齢者の間で低下しているが、それでも80%の有効性があると示している。

この発表には、外部の研究者やイスラエルからのデータも含まれており、デルタ期の感染予防率は39〜84%、入院に対する有効性は75〜95%だったと推定されている。

最終的にFDAは、多くの米国人にファイザー製ワクチンの追加接種を許可し、CDCはほとんどの人に接種を勧めた。その後、両機関は、5歳以上のほぼすべての米国人に接種を許可、推奨するようになった。

米国当局は耐久性の欠如を理由に古い注射剤を交換し、今秋にも新たな予防接種を実施すべく準備を進めている。

メリーランド州に拠点を置く大紀元のシニアリポーター。主に米国と世界のニュースを担当。