7月から施行されている中国の改正「反スパイ法」は、取り締まり対象となる行為が極めて曖昧とされる。何でもスパイ行為の疑いがかけられるので、どこで拘束されるか気が気ではない。
そのため、中国に住む外国人は不安を募らせ、各国も警戒を強めている。日本人がスパイ行為に関わったなどの容疑で中国当局に拘束されるケースも相次いでいるため、中国在住の邦人の間でも不安が広がっている。
台湾国営通信「中央通訊社」が情報筋の話を引用して報じたところによると、「日本人が中国当局に逮捕される場所は、ほとんどが空港だ」という。
そこで「空港で逮捕」の対策として、日本に帰国する邦人社員を、同僚たちが集団で空港まで送り届ける企業もあるという。
もちろん、同僚たちは中国当局の逮捕を止められないが、少なくとも、その人がどこへ連れていかれたかぐらいは知ることができる。全く誰も知らずに拘束されれば、本人が外部と連絡をとることは不可能なので「被失踪」つまり突然失踪して、理由もわからず「行方不明」になってしまうからだ
今年3月、帰国直前の日本の製薬大手・アステラス製薬の社員が「スパイ行為」などに関与した疑いで中国の国家安全当局に拘束された事件(まだ社員は釈放されていない)は記憶に新しい。
中国で「反スパイ法(2014年)」が施行されて以来、これまでに計17人の邦人が拘束され、うち9人が実刑判決を受けた。裁判は非公開で、中国側は「被告の、どのような行為が法律に違反したのか」すら明らかにしていない。
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