出国禁止の中国人活動家 水上オートバイで黄海を横断、韓国へ亡命図る

2023/08/25
更新: 2023/08/25

出国を禁止されている中国の人権活動家・権平氏が、水上オートバイ亡命を図り、韓国に到達した。

同氏は16日夜、水上オートバイ(ジェットスキー)に乗って山東省から黄海を横断。韓国の仁川(インチョン)沖に到着したところで自分から電話し、韓国海洋警察に拘束された。

韓国軍の関係者は、韓国メディア「聯合ニュース」で同事件を確認したと認めたが、亡命を図った当事者の名前は明かしていない。NGO「ダイアログ・チャイナ(Dialogue China)」のイ・デソン氏は、フランス通信社に「亡命を図ったのは、中国の人権活動家・権平氏だ」と語った。

調査によると、権平氏は救命胴衣やヘルメットを身につけ、自身が所有する1800ccの水上オートバイに乗って山東省から出発。双眼鏡とコンパスをたよりに、300キロ以上の距離を東進して、一気に渡海した。権平氏は、25リットルの燃料タンク5個をロープで縛って携行し、途中で燃料を補充しながら走行したという。

権平氏は吉林省延辺出身の朝鮮族で、今年35歳。2012年に米国のアイオワ州立大学を卒業し、中国に戻っていた。

2016年9月、権平氏は習近平主席を「アフリカなどの発展途上国を厚遇する、ヒトラーのような独裁者」になぞらえて風刺する文言の書かれたTシャツを着用。反体制の意思を示したとして、同年10月1日に逮捕された。

翌年2月15日、中国の裁判所は「国家権力転覆扇動罪」で権氏に1年半の懲役刑を言い渡す。刑期を終えて出所した権氏は、2019年に中国を出国しようとしたが許可されなかった。

イ・デソン氏は、「不法入国は適切な方法ではない。しかし、2016年から続いてきた中国当局の監視と政治的迫害が、(権氏が)命をかけて韓国に亡命しようとした行為の背景にある」として、権平氏の行動に理解を示した。

王佳慧
程靜