国際条約を無視する中国共産党 メコン川上流に建設したダムで下流に深刻な損害(2)

2023/08/22
更新: 2023/08/23

政治的駆け引きの道具

王維洛氏は、中共にとってダムが、東南アジアを支配するための戦略的武器になっていると警告した。 中共にとって、上流のダムを支配することは、東南アジア諸国に影響を与えるための重要な政治的切り札なのだ。

2016年3月、メコン川の水量の減少が、ベトナムの水田に深刻な干ばつと海水の逆流を引き起こした。 アジア太平洋地域の政治・社会ニュースを扱う英字政治専門誌『ディプロマット』によると、中共政府は下流国を支援するために前例のない放水を行ったという。 

中国外務省の陸慷報道官は記者会見で、「友好国が困難な状況にある時、助け合うべきであることは言うまでもない」と述べた。

実際には、中共の援助には他の目的があることが証明された。1週間後、当時の李克強首相が司会をして、「瀾滄江・メコン川協力」(LMC)の初の首脳会議が中国南部熱帯海南島の三亜市で開催された。

公式発表によると、中共から「緊急用水」を受け取った後、下流の南東部5か国は、「平和と繁栄に向けてメコン諸国の運命共同体を構築する」ための「瀾滄江・メコン川宣言」に署名した。

この宣言は中共の「一帯一路」構想の一環であり、投資、融資、インフラを利用して東南アジアにおける中共の影響力を拡大するものである。

自ら主導する「瀾滄江・メコン川協力」の開始以来、中共は東南アジアで攻撃的な戦略を取っている。「耳を傾ける国」には資金、投資、上流のダム貯水と放水に関するより多くの情報を提供するが、そうでない国には差し控えていると石山氏は言った。

このような政治的影響力は明らかに一部の東南アジア諸国に影響を与えた。

リアム海軍基地:カンボジアへの足がかり

石山氏によれば、この強圧的戦略の顕著な例は、カンボジアの領土内に、中共が軍港施設を建設したことだという。2010~17年にかけて、南シナ海とマラッカ海峡の近くに位置するレアム海軍基地は、カンボジアと米国の共同訓練と海軍演習の場として機能した。

しかし、2017年にカンボジアは米軍との年次合同演習である「アンコールセンチネル」を中断し、2019年、米国からの海軍基地の改修申し出を拒否した。その理由について米国防総省が説明を求めたところ、カンボジアが中共軍を受け入れる計画を持っているとの疑惑が浮上した。

同年、ウォール・ストリート・ジャーナルは、中共とカンボジアが、中共軍がリアム海軍基地を30年間使用することを認める密約を結んだことを明らかにした。

中国が出資して再建したレアム海軍基地は、大型軍艦が停泊できる港も含まれている。2023年7月、地理空間情報プロバイダーのBlackSkyが公開した画像には、基地が完成に近づいていることが示されている。

「民主主義防衛財団」中国プログラムの副局長シングル氏は、BlackSkyのプレスリリースで、「中共が海軍基地を建設するスピードは、その裏に深い意図があるのを否定するのは難しい」と述べ、シングルトン氏は、長さ300メートルの新型空母「福建号」を支えるのに十分な港湾だと指摘した。

残念ながら、この港は南シナ海における中国共産党の足がかりになるだけでなく、中共軍が太平洋やインド洋をカバーし、両洋に侵入するための重要なシーレーンを支配することになるかもしれないと石山氏はエポックタイムズに語った。

Lynn Xu