「誰が来たのか知らない」 米国経由の台湾副総統に、赤旗の抗議者は雇われたサクラか

2023/08/17
更新: 2023/08/17

南米パラグアイへの「経由地」として8月13日、米ニューヨークに立ち寄った台湾の頼清徳副総統に対し、これを待ち構えて激しい罵声を浴びせた「抗議部隊」がいた。

ところが、そのなかには、誰に向かって自分が抗議しているのか知らない人々、つまり「事情を全く知らないサクラ」が含まれていたようだ。これらの「サクラ」はアルバイト料で雇われた人員か。台湾メディアが報じた。

台湾の頼清徳副総統は現地時間13日、南米パラグアイの大統領就任式に出席するため、米ニューヨークに立ち寄った。その際に、在米台湾人が主催する集会で講演を行った。

この時、会場の外では、赤い中国国旗を振りかざした数十人ほどの、自称「(大陸の)華僑」が抗議をしていた。彼らは「消滅台独(台湾独立を消滅させよう)」などのスローガンを叫び、騒がしく罵声を上げている。

この抗議者たちは、頼氏の歓迎パーティに参加する台湾華僑に対しても罵声を浴びせるなどしたため、両者の間で一時言い争いになった。一部の台湾華僑が、台湾国旗を振りかざして対峙する場面もみられた。

ところが、台湾メディアのTVBS新聞が放映した映像のなかには、自分が誰に対して抗議しているのかもわかっていない「サクラのような抗議者」の姿があった。(動画はこちら

現場映像のなかで、台湾メディアの記者が中国国旗を手に持つ中年の女性に対し、「あなたは今、誰に対して抗議しているのか知っていますか?」と尋ねた。

すると、質問された女性は顔をそむけて、記者を避けるしぐさをみせた。そこへ、そばにいた抗議仲間の男性が口をはさみ「台湾独立主義者に抗議しているのだ!」と大声で叫んだ。

「それは誰ですか。誰に抗議しているのですか?」と記者はさらに問い詰めたが、この男性も最後まで抗議する相手の名前を答えられなかった。どうも「頼清徳」という名前を知らずに、この場に来ていたらしい。

この後、リーダー格とみられる赤いシャツを着た男性が進み出て「(我われは)金をもらって抗議しているのではない。金なら、あんたにあげられるほど俺は持っている」と声高に叫ぶとともに、通常の取材をする台湾メディアに対して「(我われを陥れるための)罠を仕掛けるな!」などと興奮し、一方的に非難していた。

「この人たちは(台湾)総統の3月の訪米時と同様に(雇われた)アルバイトなのか?」と台湾メディアの記者は解説した。

今年3月、台湾の蔡英文総統が中米訪問の経由地である米ニューヨークに到着した際にも、宿泊ホテルの外には「歓迎」と「抗議」の両陣営が、道路を挟んで対峙した。

この時は、抗議側が中国の諺をつかったスローガンの文句を間違えて、もの笑いの種になるというハプニングが起きている。

この時、現地(ニューヨーク)で抗議していた人たちについて、台湾政府の情報機関・国家安全局のトップは「あれは中国政府が雇った者たちだ」とする見解を示していた。

それによると「中国の総領事館が雇った『抗議者』の日当は、1人当たり200ドル(約2万7000円)」。なお、この日当には「抗議者」の食費や宿泊費、交通費などは含まれないという。

今回は、3月の時と比べると「抗議活動」の規模は小さくなっている。12日夜、ニューヨークに到着した頼氏が宿泊先のホテルに入る際、ホテル前では大勢の台湾系米国人が出迎えたが、赤い旗の陣営による抗議活動はなかった。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。