【図解でわかりやすく】中国で臓器移植を行ってはいけない本当の理由

2023/08/19
更新: 2024/04/02

臓器移植が必要な患者が中国へ行けば、たった1〜2週間で手術が受けられるーー。みなさんはこのような話を聞いたことがあるでしょうか。落ち着いて考えれば、なんとも恐ろしい事実です。

近年、中国では「臓器狩り」という国家ぐるみの犯罪行為が行われているとの研究報告が数多く発表されています。しかし、中国共産党の圧力により、ほとんど報道されていません。ここでは現代中国の闇について、図解を交えつつわかりやすく読み解いていきます。

そもそも臓器移植とは何か

臓器移植とは、病気や外傷等により臓器が機能不全に陥ったとき、他人から提供された健康な臓器を移植することで、健康を回復する医療行為です。現在では医療技術の進歩により、心臓、肺、肝臓腎臓、小腸、角膜、骨髄などの移植を行うことができるようになりました。

臓器移植は倫理とも切り離せない関係にあるため、日本の厚生労働省は「広く社会の理解と支援があって成り立つ医療」だと指摘しています。

移植手術で使う臓器はどこから来るのでしょうか(大紀元)

では、臓器を移植する条件は何でしょうか。世界保健機関(WHO)の臓器移植に関するガイドライン「ヒト細胞、組織及び臓器移植に関する指導指針」では、同意が得られた場合に限り、健康な人(生体)または亡くなった人から臓器や体の組織を摘出することができる、と定められています。さらに、臓器の提供に際しては無償でなければならず、金銭を対価とすることはできません。

健康な人が臓器提供者(ドナー)となるには様々な条件があります。本人の自発的な意思に基づくこと、本人が健康であること、血液型が適合すること、などです。日本では、生体の臓器提供ができるのは、臓器の提供を受ける人(レシピエント)の6親等以内の親族または3親等以内の姻族(配偶者の親族)と定められていますが、例外もあります。

亡くなった人からの移植について、各国では法令の違いが見られます。大別すれば、「選択同意制(opt-in)」と「推定同意制(opt-out)」の二つが存在します。

選択同意制とは、亡くなった人が生前、臓器提供への同意の意思表示をした場合のみドナーとなる制度で、日本や米国、イギリス、台湾などが採用しています。

推定同意制では、亡くなった人が生前、臓器提供を拒否する意思表示をしていなければ、臓器移植を行うことができるという制度です。スペインやオランダ、シンガポールなどがこの制度を採用しており、これらの国々では臓器提供に同意する人の割合が比較的高くなっています。

移植用の臓器を待つ時間(待機期間)は長く、日本移植ネットワークによると、平均して心臓は約3年、肝臓は約1年、肺は約2年半となっており、待機者の多い腎臓移植は約15年となっています。

待機期間が長くなるのは、脳死や心停止が事前に予測できないからです。さらに、移植用の臓器と患者の血液型やHLA(白血球抗原)の型などが適合しなければならないため、適合するドナーの数は、臓器移植を必要とする患者の数をはるかに下回っているのが現状です。

「臓器狩り」とは何か

「臓器狩り」とは、ドナーの同意を得ることなく、生きたまま臓器を強制的に摘出し、移植用に販売することで暴利を貪ることです。臓器移植の倫理規定に反するだけではなく、殺人や臓器売買など、刑法上の罪に問われる行為です。

臓器売買は発展途上国や貧困地域でも問題となっていますが、中国での「臓器狩り」は国家ぐるみの犯罪行為として、大きな問題になっています。さらに、中国共産党が無実の人々を秘密裏に処刑する手段として悪用されており、著しい人権侵害となっています。

中国共産党の「臓器狩り」の対象とされているのは、チベット人やウイグル人、キリスト教徒などですが、最大の対象は法輪功の学習者です。弁護士やジャーナリストによる国際的な調査から様々な裏付けが得られているにもかかわらず、中国共産党は証拠隠蔽を図り、国際社会に対して事実とは異なる情報を発信しています。

臓器狩りはどのように暴かれたのでしょうか(大紀元)

「臓器狩り」が暴かれた経緯

当事者による告発

2006年3月、中国北東部の病院で働いていたアニー(仮名)と名乗る女性が、医師だった元夫が2000人あまりの法輪功学習者から角膜を摘出したことを大紀元に証言しました。

アニーさんによると、彼女は1999年から2004年にかけて、元夫とともに中国東北部の病院で働いていました。元夫は、法輪功学習者の臓器強制摘出に加担した外科医でした。2003年10月までの2年間、2000人以上の法輪功学習者の角膜を摘出し、その中には生きたまま角膜を摘出された人もいたとされます。

国際的な調査

アニーさんが臓器狩りを暴露したことを受けて、国際人権法研究者マンフレッド・ノヴァック(Manfred Nowak)氏、国連宗教自由特別報告者アスマ・ジャハンギール(Asma Jahangir)氏、国連人身売買対策特別報告者シグマ・フーダ(Sigma Huda)氏の国連人権委員会の特別報告者3人は中国当局に対し、臓器狩りに対する反対意見となる証拠を出すよう連名で書簡を送りました。しかし、中国当局は証拠の提出を断固として拒否しました。

時期を同じくして、国際人権弁護士のデービット・マタス(David Matas)氏と、カナダのアジア太平洋州担当大臣だったデービット・キルガー(David Kilgour)氏は、独立した調査を始めました。彼らは被害者インタビューや中国の病院に関する公開情報分析を通して、中国当局の公式データを検証し、2006年7月に『中国における法輪功学習者を対象とした「臓器狩り」調査報告書』を発表しました。

そこから、中国共産党と全国各地にある病院や医療機関が数多くの法輪功学習者から臓器を摘出し、移植手術を必要とする患者に高値で売りつけていたことがわかったのです。

さらに、「法輪功への迫害を追跡調査する国際組織(WOIPFG、以下、追査国際と表記)」も積極的に調査を続けています。追査国際は2003年1月にニューヨークで設立された組織で、法輪功迫害に加担した組織や個人の調査を行っています。

追查国際は2006年3月から臓器狩りの真実を求めて調査を開始しました。調査の対象となったのは、中国共産党中央政治局の常務委員や軍事委員会副主席、国防部長などの高官に加え、現場の担当者や目撃者など様々です。2016年7月までの10年間、法輪功学習者の強制臓器摘出に関する調査報告は80本に達し、強制臓器摘出に関与した疑いのある891の病院と9519人の医師が調査対象となりました。これらの病院と医師に関する調査ファイルも作成され、証拠となりうるウェブページや医学論文などを合わせると、データ総量は100GB以上に上りました。

電話調査で明らかになる真実

2006年3月9日から、追查国際の調査員は、移植手術で法輪功学習者の臓器が使われているかどうかを確かめるため、中国各地の病院に電話をかけ、音声記録を保管しています。内部告発者が取り上げた東北部の瀋陽市にある蘇家屯血栓病院を皮切りに、全国の移植病院へと調査を広げていきました。

法輪功学習者の臓器を使っているのかという調査員の問いかけに対し、電話応対した医師や看護師は憚ることなく、「私たちのところも同じです」「そのような腎臓が十数個用意されています」と話しました。

初歩的な調査では、20以上の病院が、法輪功学習者の臓器を使用していると認めました。

追查国際の代表、汪志遠氏は自ら北京市の豐台にある人民解放軍307病院に電話をかけました。腎臓の供給を担当する陳強氏は、法輪功学習者の臓器摘出が「政府、警察、刑務所の流れ作業」で行われていると強明らかにしました。供給源が本当に法輪功学習者であることを確認する方法について尋ねると、陳強氏は「しかるべき時に上層部から資料を渡す」と答えました。

「臓器狩り」の重要証拠

中国移植産業の不自然な急成長

1999年以降、中国本土では臓器移植産業が急速に発展しました。ここでは、肝臓移植を例に見ていきます。

重要な疑問点は主に2つです。まず一つ目は、肝臓移植手術を行う病院の数です。1999年以前、そのような病院は中国全土でわずか19カ所でした。いっぽう、中国衛生部の副部長である黄潔夫の発表によれば、肝臓移植を行う病院の数は2006年になると500カ所以上に増えました。実に20倍以上の増加です。

中国では法輪功迫害が始まった1999年以降、移植手術件数が爆発的に増えました(大紀元)

次に、肝臓移植の件数です。中国当局の公式データによると、1999年以前の20数年間に行われた肝臓移植の件数は累計でも135例に過ぎませんでした。1991年から1998年までの肝臓移植は78件ですが、1999年から2006年までのわずか8年間で、肝臓移植の件数は1万4085件に上りました。180倍も急増したのです。

医療倫理団体「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」代表のトルステン・トレイ(Torsten Trey)氏は、効率的なドナー制度が整備されていない当時の中国で移植産業がこのような発展を遂げたことについて「驚くべきものです」と述べました。その分水嶺となった1999年は、まさに中国共産党による法輪功弾圧が始まった年でした。

短すぎる待機期間、謎に包まれたドナー

2006年の調査結果によると、患者に適合する肝臓や腎臓などの臓器を2〜4週間以内に調達できると回答した中国の移植病院は165カ所でした。

天津東方臓器移植センターは公式ウェブサイトで、肝臓移植の平均待機期間は2週間だと公表していました。中国第二軍医大学に所属する上海長征病院の肝臓移植申込フォームには「本病院の肝臓移植患者の平均待機期間は1週間です」と明記されていました。

さらに、沈陽にある中国臓器移植ネットワーク支援センターでは「特別サービス」と称して、臓器の摘出時にドナーの脂肪肝といった瑕疵が確認された場合、手術を一旦中止してドナーを探し、「1週間以内に再度移植手術を行う」としています。

2006年に臓器狩りが暴かれると、これらの数字も徐々に公式サイトから消えていきました。

いっぽう、ドナー制度が高度に発達し、多くの人々が臓器提供の意思表示をしている米国においても、臓器移植の長い待機期間は克服できない問題となっています。

その主な原因として、適合する臓器がなかなか見つからないこと、死者からの臓器移植がいまだ大きな割合を占めていることが挙げられます。米国の2007年〜2019年の臓器提供と移植に関する研究報告(OPTN/SRTR Annual Report)によれば、1万6000人の肝臓ドナーのうち、実際に肝臓を提供できるのはわずか1人だけでした。肝臓移植の90%〜96%以上は、既に亡くなった臓器提供者からのものです。

米保健省の2007年のデータによれば、肝臓移植の平均待機期間は114週間、肝臓ドナーは5890人でした。また、腎臓移植の場合、平均的な待機期間は160週間(約3年)です。

しかし、中国では1999年以降、患者に適合する肝臓ドナーを見つけるのに必要な時間は平均して2週間でした。臓器提供が全てドナーの自発的意思によるものと仮定し、平均1万6000人から1人が選ばれる割合で考えた場合、中国の肝臓移植の実需を満たすことができる人口は54億人であると計算できます。

さらに、2005年まで中国には自発的に臓器を提供するドナー制度がなく、2013年まで全国的な臓器分配システムが構築されることはありませんでした。さらに、遺体を完全な状態で埋葬するという中国人の伝統的な価値観も影響し、自発的にドナーになる人の割合は決して高くなかったようです。

米国と比較しても中国の臓器提供の速さは異常というほかない(大紀元)

速すぎる肝臓移植

中国で行われた肝臓移植のうち、緊急手術の割合が高いことも注目を集めました。肝臓移植の緊急手術とは、重度の肝臓細胞壊死を伴う患者に対し、72時間以内に行われる移植手術のことを指します。

中国の国家的な年次報告書『中国肝臓移植登録2006年度報告』によれば、2005年4月6日から2006年12月31日までの約1年間で記録された8486件の肝臓移植手術のうち、緊急手術か否かの区別が注釈されたいたのは4331件でした。そのうち緊急手術だったのは1150件で、比率は26.6%、つまり全体の4分の1以上でした。

前述のように、臓器提供には予測可能性が乏しく、さらに患者との適合性が必要です。そのため、1000件を超える移植手術のたびに、それぞれの患者と適合する肝臓を全て3日以内に探し求めることは不可能です。医学誌『肝臓移植(Liver Transplantation)』に掲載されたデータによると、米国では1994年から2007年までの間、急性肝不全のために行われた緊急の移植手術はわずか60件でした。

さらに同誌によると、肝臓移植に占める全肝移植(肝臓全体を移植すること)の割合は97.7%で「圧倒的多数」でした。人間は肝臓を摘出されると生命維持できなくなるため、全肝移植手術1件につき一人の人が亡くなったと考えることもできます。

中国では全肝移植の割合が非常に高く、これは肝臓のドナーが容易に見つかることを物語っています。

中国では急患に対する肝臓移植の件数が非常に高い割合を占めている(大紀元)

医学論文が暴く「臓器狩り」の実態

中国の医師らが発表した医学論文からも、生きた人の臓器を摘出し、死に至らしめる行為が行われていることが読み取れます。

中国の昆明市延安病院の呉剣氏ら6人の医師は、「2件の心肺同時移植手術におけるドナーの心肺摘出と保存(仮訳)」と題する論文を発表しています。この論文の手術記録では次のような記述が確認できます。「ドナーが入室するとすぐに、一般的な手術手順に従って麻酔と気管挿管を行った。メチルプレドニゾロン1gを静脈注射し、ヘパリン化(3mg/kg)を行った」「麻酔が効いた後、通常の消毒を行い、胸部を中央で切開し、通常の手術手順で迅速に開胸を行った」

この手術記録を分析すれば、以下のような推察をすることができます。

  1. 臓器提供者(ドナー)は生きた人間です。そうでなければ麻酔や気管挿管は必要ありません。
  2. ドナーには知覚が残っています。臨床医学では麻酔の有効性を確かめるとき、人の知覚や反射を判断の材料としています。手術は麻酔が効いた後に始められるので、直前までドナーには知覚と反射があったと確認できます。
  3. ドナーは手術前、自発的な呼吸ができる状態でした。なぜなら、気管挿管が行われたのは、ドナーが手術室に入った後でした。もし自発的な呼吸ができないのであれば、気管挿管はもっと早い段階で必要となるはずです。
  4. ドナーは脳死や昏睡状態ではありませんでした。脳死状態であれば、手術室に入る前に救命処置が施され、静脈内注射や気管挿管が既に行われているはずです。もし救命措置が失敗しても、臓器の質を保ためには、呼吸や血液の循環を維持する必要があります。いずれにせよ、手術室に入ってから初めて静脈内注射を行う必要はありません。

謎の健康診断と血液検査

中国共産党に拘束された法輪功学習者はほとんど例外なく、謎の健康診断を受けています。もちろん、結果は本人に知らされることはありません。

幸運にも監禁施設から生き残った法輪功学習者らは取材に対し、収監されていた時に血液検査や尿検査、身体検査、超音波スキャンなどを受けたと語っています。いっぽう、法輪功学習者以外の他の囚人にはこのような検査が施されませんでした。また、拘束されていない一部の法輪功学習者も、強制的な血液検査を受けさせられています。

臓器摘出の目撃者

2006年、最初に臓器狩りを告発したアニーさんは、中国東北部の蘇家屯血栓病院では6000人以上の法輪功学習者が収容され、そのうち多くが腎臓や角膜、皮膚などを切除され、遺体が密かに焼却炉で燃やされたと述べました。

同年、瀋陽軍区(当時)の元軍医は大紀元エポックタイムズへの投書で、暴露された蘇家屯病院の状況は事実であり、法輪功学習者を収容するための収容所は中国全土で36カ所あると指摘しました。最大のものは吉林省にあるコードネーム「672S」と呼ばれる施設で、収容人数は12万人以上だといいます。これらのことが全て事実であれば、臓器移植のドナーの供給源についても合理的な説明が得られるでしょう。

2009年、「追查国際」は、かつて遼寧省の公安部門で働いていた証人の証言を公表しました。彼は当時、武装警備員として遼寧省の瀋陽軍区総病院の手術室に立ち会い、法輪功学習者の女性中学校教師から麻酔をかけないまま心臓、肝臓、腎臓などの臓器が摘出される様子を直接目撃したと証言しています。

各国で高まる非難の声

中国臓器狩りの証拠が次々と明かされるなか、各国は決議案で中国共産党の残虐行為を非難し、臓器移植に関する法律を制定・修正しています。

2007年には、イスラエルのユダヤ教ラビや政治家、学者など220人が請願書に署名し、中国共産党による臓器の強制摘出の停止を求めました。これを受けて、イスラエル当局は2012年4月、自国民が海外に渡航し出所不明の臓器を移植することを禁じるとともに、その移植費用を保険会社が支払うことを禁止する法律を制定しました。

スペインでは2010年に「臓器移植法」を改正し、スペイン国民が「移植ツーリズム」のために中国渡航することを制限しました。さらに違法な臓器移植を受けることを禁じ、加担した者や仲介をした者、さらに手術を受けた者を刑事訴追することができるようになりました。

2013年12月、欧州議会では中国臓器狩り問題に関する決議案が可決し、「国家が、臓器提供意思のない良心の囚人から臓器を摘出することを認めているとの報告」に深刻な懸念を示しました。中国共産党に対し、「良心の囚人や宗教団体のメンバー、少数民族からの臓器摘出を直ちに停止」するとともに、「法輪功学習者を含むすべての良心の囚人を即時釈放」するよう求めました。

さらに、2016年7月には、欧州議会は書面声明第48号を可決、「中国共産党が続けている臓器取引について、直ちに独立した調査を立ち上げなければならない」とし、2013年の欧州議会の非難決議を実行するよう求めました。この声明には欧州議会に参加するすべての党派、28の加盟国から選出された413人の議員が署名しました。

2014年3月5日、イタリア元老院の人権委員会は243号決議案を全会一致で可決しました。中国共産党に対し法輪功学習者を含む良心の囚人を即時釈放するよう促すことをイタリア政府に求めるとともに、臓器狩りの犯罪行為への全面的な調査をするよう要求しました。

2014年12月6日、カナダ議会の国際人権委員会は動議を可決し、良心の囚人や宗教団体、少数民族を対象とした中国共産党の臓器狩りに関する信憑性ある告発に深刻な懸念を示した。さらに、臓器狩り行為を非難し、即時停止するよう求めた。

2015年6月、台湾の立法院(議会に相当)は「人体臓器移植条例」の改正案を通過させた。同法令では、台湾内外で行われる臓器移植について、臓器の提供はすべて「無償」でなければならず、違反した者は5年以下の懲役と150万台湾ドル(約680万円)の罰金が科せられると定められた。

2015年12月、国連拷問禁止委員会は報告書を発表し、中国共産党が臓器狩りを行っているとの告発について、独立した調査を実施するよう求めました。

2016年6月13日、米下院では343号決議案が可決しました。中国共産党を強く非難し、臓器狩りの即時停止と、法輪功学習者に対する迫害を止めるよう求めました。さらに、米国務省に対し臓器狩りについて調査を深めるとともに、臓器狩りに加担した中国人にビザを発行しないよう要求しました。

「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」は2012年から世界規模の請願活動をはじめ、中国共産党による臓器狩りを阻止するよう国連に求めました。医師たちは50以上の国々から200万筆以上の署名を集め、国連に提出しました。

各国が中国共産党の臓器狩りを非難し、法的手段を講じている(大紀元)

綻びに満ちた中共の反論

臓器狩りが行われているとの指摘に対し、中国共産党は事実に基づかない虚偽の主張を続けてきました。2006年、臓器狩り問題にスポットが当たると、移植用臓器は処刑された死刑囚から摘出されたものだと発表しました。

2006年11月中旬、中国衛生部の副部長・黄潔夫は広州で開かれた外科医の会合に出席し、移植用臓器のごく一部は交通事故の死者に由来するものの、「ほとんどの臓器は死刑囚の遺体から取り出されている」と述べました。

しかし、人権組織「アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)」の記録によれば、1995年から1999年にかけて、1年間に処刑される囚人の数は平均1680人であり、2000年から2005年までは平均で年間1616人でした。1999年を境目として、死刑囚の処刑人数には大きな変化が見られないため、黄潔夫の主張には明らかな矛盾があります。

北京大学人民病院の移植科主任・朱繼業氏は「中国経済週刊」のインタビューに対し、2010年までは「年間4000件の肝臓と腎臓の移植手術を行った。臓器はすべて死刑囚から取り出したものだ」と語りました。しかし、中国で1年間に処刑される死刑囚は平均1600人程度であり、北京大学人民病院という一つの医療機関の需要すら到底満たせないのです。

そもそも、死刑囚の臓器を使うこと自体に倫理的な問題が伴います。中国共産党は2015年1月、死刑囚の臓器をこれ以上使わず、市民の自発的な臓器提供に切り替えることを宣言しました。

しかし、追查国際が2015年1月から11月にかけて、中国で臓器移植を行う資格を持つ全ての医療機関と一部の民間のドナーシステムを対象に行った電話調査では、移植件数が最も多い北京・天津・上海などの大都市でも、自発的な臓器提供の数は非常に少ないことがわかりました。

北京の赤十字会系のドナーシステムはまだ準備段階でした。2003年から2014年までの11年間、自発的に臓器を提供した件数は天津で170件、上海に至ってはわずか5件でした。にも関わらず、これらの都市の各病院では、年間平均で2000〜3000件の移植手術が行われています。

いまだ続く臓器狩り

追查国際が2020年7月20日に発表した調査報告によると、2020年1月1日から7月16日にかけて行われた数百件の電話調査の結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が続いていたにもかかわらず、中国全土の病院では依然として臓器移植手術が続けられていたことが明らかになりました。また、移植患者の待機期間も特段長くなることはありませんでした。

新疆ウイグル自治区では、二つの地方病院で移植手術が多く行われていました。移植病棟は常に満床状態で、患者の待機期間はコロナ前と変わらない1〜2週間でした。

新疆ウイグル自治区人民病院に対する電話調査では、肝臓科の看護師は調査員の問いかけに対し、肝臓移植の待機期間は状況によって異なるが、もし運が良ければ「すぐにマッチングできる在庫があります。すぐにでも手術できます」と答えました。

2020年1月11日に行われた第四軍医大学西京病院への電話調査では、調査員がドナーの年齢に疑問を示しました。すると腎移植科の医師李国威氏は、ドナーが手術前にまだ病院にいる場合、患者とその家族に見る勇気があれば「あなたをドナーのところまで連れて行って見せてあげます。・・・ドナーが本当に20代であることを、ご自身で確認してください」と答えました。

「北京青年報」によると、新型コロナウイルスに感染した一人の59歳男性はECMO(エクモ、体外式膜型人工肺)によって呼吸を維持していましたが、2022年2月24日に無錫市感染病院に移送されることになり、肺移植を行うと決めました。わずか5日後の2月29日、男性患者は両肺移植を受けました。翌日、浙江大学第一附属病院も新型コロナウイルス患者に対して2件目となる肺移植を実施しました。

上記2件の肺移植は、いずれも待機期間が極めて短いものでした。移植手術の実施を決定してから、さまざまな医学的検査を経て、臓器を摘出し、患者の体内に移植するまでに掛かった時間は5日間でした。これほど短い時間で患者にマッチングする臓器を次々と見つけることは至難の業です。あらゆる疑惑の矛先は中国共産党に向けられており、臓器狩りという犯罪行為の真実が暴かれるのも、もはや時間の問題となっています。

李杭哲