中国から海外へ逃れ、現在オランダに在住する反体制活動家・林生亮氏の娘（12歳）が今月25日、広東省深センから香港に向かう際に、香港に入るゲートで警察によって止められた。理由は「国家の安全を脅かすからだ」という。

26日にエポックタイムズの取材を受けた林氏によると、この時、娘（小筠さん）は数人の警官によって「独房」のような小部屋へ連れて行かれた。その際に、付き添いの親族の同行は許されなかったという。

警官は、小筠さんが電話をしないように携帯電話を一時取り上げ、所持品を調べた。小筠さんは「独房」に少なくとも30分は入れられ、その際、男の警官2人が見張っていた。

その場から解放された後、小筠さんは親戚の女性と一緒に別のルートを通じて香港へ行こうとしたところ、再度止められて「独房」に入れられた。

今度は女性警察官によって身体検査された。警察は小筠さんに携帯電話を開くよう指示し、「誰と連絡を取っているのか」「香港へ着いたら誰に連絡をするのか」「何をしに香港へ行くのか」などを問い詰めたという。

オランダにいる林氏と電話で連絡を取った女性警察官は、「これは全て子供の安全のためにやっていることだ」と言った。また、警察が12歳の子供を「監禁」する理由について林氏が問うと「国家の安全を脅かす恐れがあるからだ」と答えた。

2回にわたり、独房のような部屋に監禁される経験をした小筠さんについて、林氏は「（娘は）とてもショックを受けている」と明かしている。結局、小筠さんは香港へ行くことができず、深センの自宅へ戻った。

また、小筠さんの監禁と同じ時に、林氏の戸籍がある深セン市の地元警察は、林氏の高齢の母親に対して「中国共産党に反対しないよう、海外にいる息子（林氏）に伝えなさい」と求めたという。

林氏は「たかが12歳の子供が、国家の安全を脅かすだって。全く馬鹿げている」と当局の対応を非難した。

林氏の娘の件に関連して、米国在住の人権弁護士・王清鵬氏はエポックタイムズの取材に対し、次のように話した。

「12歳の子供が、どうして国家の安全を脅かすのか。家族を人質にして人権擁護者や反体制派の口を封じようとする中国共産党は邪悪過ぎる。子供たちの出国を制限する行為は、中国の法律に違反するだけでなく、世界の児童保護法規にも違反している」

その上で王氏は「中国国内にいる親族を人質にされている海外の活動家は、林氏だけではない。今年は何人もの海外の民主活動家が、同じような脅しを受けている」と明かした。

中国の人権派弁護士である陳建剛氏の「生後数か月の息子」も2015年に、同じく「国家の安全を脅かす」という罪名で出国禁止にされていた。

林生亮氏は以前、深セン市の企業の財務責任者だった。近年はネット上で、各種の社会事件や当局に逮捕された人権活動家のため積極的に発言し、人権運動にも参加した。そのため、地元警察から「安定維持」のターゲットとされ、監視されるようになった。

林氏は2017年と2019年に「騒乱挑発罪（寻衅滋事罪）」で2度逮捕され、2019年に懲役2年の判決を受けた。2022年にオランダへ政治亡命している。

（林生亮氏が、中国国内の娘が一時拘束されたことを知り、ツイッター投稿した文章。「12歳の子供が出境するにあたり、たった一人で拘束された。国家の安全に危害をもたらすというが、それを赤裸々に実行する当局こそが国家テロリズムの例証である。このような例は無数にある」と非難している）