中国の「709事件」8周年 在米華人が米国で支援集会「迫害はまだ続いている」

2023/07/12
更新: 2023/07/12

8年前の2015年7月9日、中国で国内の人権弁護士が一斉拘束される「709事件」が起きた。

今年7月8日夜、「709事件」8周年を迎えるにあたって、米国在住の華人はニューヨークやロサンゼルスに集まり、709事件で今も弾圧を受けている人権弁護士へ声援を送る集会を開いた。

出所後も続く、卑劣な「嫌がらせ」

この日、米ニューヨーク市の中心にある繁華街「タイムズスクエア」では、中国の元裁判官で弁護士の鍾錦化氏や「中国民主党」のメンバーたちが、「709」のロゴと「中国維権律師與公民海外同盟(中国人権弁護士と公民の海外同盟)」などの文字が入った横断幕を掲げて、中国共産党政権による人権迫害に抗議の意を示した。 

中国では2015年7月9日以降、200人以上の人権弁護士や活動家が一斉に拘束されている。2016年5月時点では319人がこの事件の影響をうけ、その範囲は25の省や地域に及ぶ。8年経った今も、人権弁護士や活動家への迫害は続いている。

不当な判決で服役させられた人権弁護士らは、「刑期」を終えて出所した後も当局の監視下におかれている。日常的に受ける嫌がらせで、正常な生活さえ送れないケースも多い。

その被害を受ける人々は、人権弁護士の王全璋氏や李和平氏、周世鋒氏。活動家の呉凎氏。中共ウイルスによるパンデミック初期に、武漢から真実を発信した市民ジャーナリストの方斌氏などがいる。

彼らは出所後、当局に監視されるほか、住む家を借りられない、子供の就学を阻まれる、パスポート申請を拒否される、出国を制限されるなど、さまざまな嫌がらせや不利益を被っているのだ。

「すでに6年間、行方不明」のノーベル平和賞候補

なかでも、国家政権転覆罪に問われ服役した人権派弁護士、王全璋氏に対する中国当局によって延々と続く「執拗な嫌がらせ」は酷い。

その様子は、王氏のSNS投稿を通じて世界中に伝えられている。北京に住む王氏と妻、今年10歳の息子の一家3人は過去数カ月間で、地元公安による嫌がらせなどにより、十数回も引っ越しを余儀なくされてきた。

また、「709事件」で逮捕された著名な人権派弁護士・李和平氏の場合、獄中でひどい拷問を受けたのち、2017年5月に出所したが、一家は北京で住む家のオーナーから何度も立ち退きを迫られるなどの嫌がらせを受けてきた。

北京を離れることを余儀なくされた李氏の一家は、タイ行きの飛行機に乗ろうとしたところ、警察より「国家の安全を脅かす恐れがある」として出国を禁止された。

これまでに何度もノーベル平和賞の候補に挙げられた中国の著名な人権派弁護士・高智晟氏は、2017年8月13日に失踪して以来、6年間も消息不明だ。現在、米国にいる高氏の妻は、息子とともに、夫の身の安全を祈り続けている。

今の中国は「大きな監獄だ」

「709事件」8周年を迎える前夜、8日には米ロサンゼルスのモントレーパークでも、中国国内で弾圧を受けている人権弁護士への声援集会が開かれた。

米国在住の人権活動家で中国民主党合同本部の執行長でもある界立建氏は、集会でスピーチを行い、「中国共産党による人権派弁護士への嫌がらせや迫害は、非常に恥ずべきことであり、容認できないものだ。本当に腹立たしい」と糾弾した。

さらに界氏は「彼ら(人権弁護士ら)は小さな監獄(刑務所)から出ても、それは大きな監獄(中国社会)に戻されただけだ。そこでは様々な、延々と続く苦しみをなめさせられている」と人権弁護士らが抱える窮境を訴えた。

2023年7月8日、米国在住の人権活動家で中国民主党合同本部の執行長でもある界立建氏(マイクをもつ人物)はロサンゼルスで開かれた集会でスピーチを行った。(馬尚恩/大紀元)

 

2023年7月8日、米ロサンゼルスで開かれた集会の様子。(馬尚恩/大紀元)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。