日本の安全保障に関わる土地が外国人に売買されることを懸念して、国民民主党は11日、基地周辺の土地の取得を制限した重要土地法よりも適用範囲がさらに広い法案を参議院に提出した。さらに、政府に対し早急な実態調査を求めた。
昨年施行された重要土地利用規制法は、自衛隊の基地や原発といった安全保障上重要な施設の周辺にある土地を対象とするもの。これらに加え、法案では「経済・科学技術・文化等の各分野」に関わる土地の取得等についても規制を検討するとし、政府に対し早急な実態調査を求めるほか、対策本部の設置を求めている。
法案提出後、大塚耕平政調会長(参院/愛知)は記者団の取材に応じ「重要土地規制法で防衛施設の周囲1kmは規制されたが、それ以外にも安全保障上問題となりうる土地はあるので、全ての土地につき政府に調査義務を課した法案である」と述べた。
近年では、外国人による重要施設周辺の土地の取得が問題視されている。2018年には北海道の陸上自衛隊の駐屯地を一望できる山林が中国企業に買収された。また、台湾とほど近い沖縄県竹富町議会は2016年、中国資本による土地買収を阻むため、町が土地を購入する検討がなされた。
このような事態を受け成立した重要土地法では、基地や原発から1キロメートル以内を「注視区域」に指定し、所有者が外国と深い関係を持つ場合には利用目的の報告を求めている。自衛隊の司令部機能や無人の離島など、安全保障上特に重要な施設周辺は「特別注視区域」と定め、200平方メートル以上の土地や建物の売買には、取引する人や団体の名前・住所、利用目的の事前届け出を義務付けている。さらに「特別注視区域」における無届けや虚偽報告には、6月以下の懲役や100万円以下の罰金を科する。
いっぽう、外国人の土地売買を規制するに際して、日本が締結した「サービスの貿易に関する一般協定」との整合性が問題になるとの指摘もある。大塚政調会長は会見で「条約上の理由で必要な処置がとれない場合、政府が所要の外交上の取り組みをするよう明示した点も画期的だと思う」と述べた。
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