欧州・ロシア 欧州で進む新たな都市計画をめぐって

「15分都市」で人類は総貧困化&奴隷化へ、欧州議会議員が警鐘

2023/05/11
更新: 2023/05/11

パンデミック期間に欧州で導入が進んだワクチンパスポートは、国民に対する統制強化を目指す政府による「15分都市」構想に向けたテストランだったと、ある欧州議会議員が警鐘を鳴らしている。

「15分都市」とは、日常のほとんどの用事を徒歩や自転車で済ますことができる都市計画のことで、欧州では法整備が進んでいる。果たして、なぜそれが政府による統制強化につながるのだろうか。

先月、EPOCH TVの対談番組「米国思想リーダー」に欧州議会のクリスティン・アンダーソン議員が出演し、この問題について議論した。

政府が「15分圏外に出ないように」と決定さえすれば、囲い込みをせずとも、デジタルIDによって国民の統制が可能になるとアンダーソン議員は指摘した。

「別の店に行きたくなっても、近所になかったらどうするでしょうか。きっとその店にはもう行かないでしょう。つまり、これは全面的な統制です」。

アンダーソン議員は、パンデミック期間に欧州で導入されたワクチンパスポート「デジタルグリーン証明書」が、人々にQRコードや関連要件に慣れるさせるためのテストランだったと説明している。

「今私たちは、15分都市を押し付けられています。それは利便性のためではありませんし、地球を救うことにもなりません。私たちに“ロックダウン”を課す前に必要だっただけです」。

「英国では一部の地区で既に法整備が進んでいます。彼らは “気候変動のロックダウン” を課すことができるようになるでしょう。それが次のステップです。そのことを彼らは私たちに伝えています。その実行には15分都市が必要になるでしょう」。

「次のステップとして、人々の移動を制限し、1年に2,3回しか域外に出れないようにする予定です。ただし、富裕層は貧困層から移動許可証を購入でき、そこが規則の穴となるでしょう。貧困層は15分で移動できる圏内に取り残され、富裕層はどこへでも行ける、といったことになるでしょう」。

2022年3月に世界経済フォーラム(WEF)のウェブサイトで取り上げられた記事では、15分都市のコンセプトは一過性のものではなく、現在という時代の、とりわけパンデミックの帰結であるとされている。次の通りだ。

「新型コロナとその変異株が人々を家に閉じ込めた(あるいは家にいる時間を普段より増やした)ことで、15分都市は『あったら助かるもの』から『目指すべき旗印』へと変わった。気候変動やグローバルな紛争が引き起こす深刻な衝撃やストレスがより頻発化していくなかで、15分都市の重要性はさらに増すだろう」。

デジタル専制政治へ

アンダーソン議員は、中国共産党による「社会信用システム」の欧州版が既に試験されていると指摘している。

「プロジェクトのパイロット版が既にイタリアのボローニャで進んでいて、『ボローニャ・ウォレット』と呼ばれています。ウィーンでは『ウィーン・トークン』が進んでいます」。

「今のところ自由参加制で、人々を誘い込むためのものです。参加すると劇場のチケットが少しだけ安くなります。これは最初のステップです」。

「近いうちに選択肢がなくなるでしょう。QRコード付きのデジタルグリーン証明書が必要になります。どこへ行くことができ、何をすることができ、何をしてはいけないかは、それが教えてくれます」。

また、アンダーソン議員は、現在サウジアラビアで進行中の「THE LINE」という未来都市プロジェクトについても批判している。全長170km・高さ500mの直線型高層都市に、最大900万人の受け入れを予定しているという。

「人々を完全に統制したかったら、私ならまさしくそういう場所に住まわせ、1日3食与えるでしょう。言われる通りにしなければどうなるでしょうか。食事が取り上げられるでしょう。簡単すぎます」。

「どういうことかお分かりですか。これらすべてを本気で考えれば、他に言い表しようはありません。つまり、これは完全なる人類の総貧困化と奴隷化になるでしょう。私にはそう見えているので、はっきりと言いました」。

「15分都市」というコンセプトをめぐって、ソーシャルメディア上では議論が白熱している。ドキュメンタリー制作者のカーラ・フランコム氏が2月にこの都市構想の利点について投稿したところ、すぐに批判が寄せられた。

理論上は素晴らしく聞こえても、政府が実施を試みれば問題が生じる可能性があるといった批判のほか、「15分都市が実現すれば、フランコム氏だって30分の距離に住む父親に会うのに特別な許可が必要になる」と揶揄する声があった。

作家のリサ・キーブル氏は次のようにツイートしている。

「いつかあなたは、15分都市に閉じ込められ、ドローンが甘酸っぱい虫を届けるのを待ちながら、休暇中のことを思い出そうとするでしょう。『いつから間違ってしまったのだろうか』と自問しながら。それは、あなたたちがロックダウンやマスクを礼賛していたときです」。

政府による恐怖の扇動

アンダーソン議員は、パンデミック期間に政府が恐怖を用いて人々を統制したことを強調した。

「ドイツには、いかにして人々を政府が望む制限に従わせるかということに関するマニュアルがありました」。

「『子供には新型コロナのリスクがなくても、彼らを怖がらせなければ。もしウイルスが子供を経由して祖父母に感染したら、祖父母を殺した責任は子供にある』。これこそが政府の考え方です。彼らはそれを明確にしていました」。

また、アンダーソン議員は、今回のパンデミックは完全に誇張されたものであり、製薬会社が何十億ドルも稼ぐことができるようにするためだったと指摘した。

そして、最も恐ろしいことは、これが世界規模で行われたことだという。

「もし2,3か国が暴走しただけだったら、他国が止めに入ったかもしれません。しかし、完全に右向け右でした。西側のほとんどの民主主義国が同じことをやり、同じような台詞を繰り返しました。これが最も恐ろしいことです」。

エポックタイムズのシニアエディター。EPOCH TVの番組「米国思想リーダー」のパーソナリティーを務める。アカデミア、メディア、国際人権活動など幅広いキャリアを持つ。2009年にエポックタイムズに入社してからは、ウェブサイトの編集長をはじめ、さまざまな役職を歴任。ホロコーストサヴァイバーを追ったドキュメンタリー作品『Finding Manny』 では、プロデューサーとしての受賞歴もある。
英語大紀元記者。担当は経済と国際。