元内閣参事官で嘉悦大教授の高橋洋一氏は28日、国会参考人として委員会に出席し、防衛力強化のための財源に国債を充てるべきだと述べた。独裁国家に囲まれた日本が戦争を防止するためには防衛力を高め、周辺諸国との防衛費のバランスを保つべきだと指摘した。
「有事のときの対応方法としての国債は非常に標準的で、日本だけが変なことをしている」と高橋氏は語った。防衛費増額のために特別基金を創設したドイツの例を挙げ、増税を主張する財務省に異論を唱えた。「この手の話は、世界の常識で対応すべきだ」。
高橋氏は、国土交通省に所属する海上保安庁の巡視船の建造費は国債が充てられていることを引き合いに出し、「海だけではなく、これを陸も空もやることは何も論理的にはおかしくない。そうすれば財源として、5年間で10数兆円は確保できると思う」と語った。
国債で防衛費を賄う考え方は故・安倍晋三元首相もかつて言及していた。産経新聞によると、安倍氏は2022年4月14日の会合で、道路や橋といった公共事業に使途を限定する「建設国債」が発行されていると説明し、「防衛予算は次の世代に祖国を残していく予算だ。私たちが今求められているのは予算において国家意思を示していくことだ」と述べた。
数量経済学者でもある高橋氏は、戦争の確率が決まる3要素のうち、防衛費のアンバランスを防止することが一番重要だと指摘した。「装備をすると戦争になるという人いるが、全く逆だ。たくさん装備を持っていた方のが、軍事力のアンバランスがないため、戦争の確率がはるかに減る。そのため、戦争の確率を減らすための財源調達を考えると、国債になると言うことだ」。
中朝露に囲まれ、「危険地帯」にいる日本にとって、防衛力強化は第一歩だ。その上で、同盟関係を強化し、抑止力を形成することで、「相手を思いとどまらせることが一番ポイント」であると高橋氏は指摘した。
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