中国共産党のスパイ工作が欧米諸国で摘発されるなか、オランダの情報機関・総合情報保安局(AIVD)は17日に報告書を発表し、違法に先端技術を入手しようと試みる中国は経済安全保障上の最大の脅威だと指摘した。
総合情報保安局は「商業スパイと秘密投資等の脅威に関する年次評価」と題する報告書のなかで、「オランダは中国を主要な貿易相手国と見ているが、中国は企業買収、学術協力、違法な(デジタル)スパイ活動などを通じてオランダのハイテク企業から技術を得ようとしている」と指摘した。
中国企業は中国政府や軍との関わりを隠蔽する傾向にあるため、オランダ側が事前に事業リスクを評価することは困難であり、時間が経つにつれ徐々にデメリットが顕在化する場合が多いという。
米国が先端技術の軍事転用を阻止すべく対中輸出規制を強化するなか、オランダ政府は最先端のEUV(極端紫外線)露光装置の対中輸出を規制することで足並みを揃えている。
同国の半導体製造機器大手「ASML」はEUV露光装置の市場シェアを独占しており、中国の主要ターゲットとなっているようだ。今年2月にはASMLの中国の元従業員がテクノロジーに関する機密情報を不正流用したことが明らかになり、中国が絡む技術窃取は2回目となる。
報告書では、ウクライナに侵攻したロシアも国家安全保障に対する脅威であるとした。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。