対中強硬にかじを切る日本 慣例破りの岸田外交が示すものとは

2023/04/10
更新: 2023/04/24

日本は今までにないレベルで対中強行策に舵を切っている。外相会談が中断していた3年3か月の間に日本政府は腹を決め、米国との各方面における連携を強化している。退任する中国大使との面会を岸田首相が拒否したことは一つの象徴的な出来事だろう。

4月1日から2日にかけて行われた林芳正外相の訪問を中国は非常に重要視し、好意的な素振りさえ見せた。アジアにおいて、中国にものを言う日本のパワーはそれだけ無視できないものとなっているのだ。

3月31日、日中双方における器材の設置及び回線の敷設が完了し、日中防衛当局間ホットラインが開通した。2007年には構築の合意がされていたにもかかわらず、その後10年以上にわたって進展がなかった。2022年11月17日、日中首脳がバンコクで会談したときに初めて、ホットラインの早期開通について合意が得られた。

10年以上も中断していたホットラインの開通がなぜ急ピッチで進んだのか。その重要な原因として考えられるのは、中国共産党は今、ホットラインをすぐにでも開通する必要に迫られているからだ。これは尖閣諸島や東シナ海において中国共産党が優位を獲得するか否かの問題ではない。中国共産党は、日本が米国と協力して中国に対する偵察活動や日米合同軍事演習を行っていることを懸念し、ホットライン開通でもって日本を牽制したいのだ。

さらに日本政府は3月31日に米国の要請に応じ、中国を対象に23品目の最先端半導体製造装置の輸出規制を強化した。オランダに続き日本も米国の要請に応じて「半導体戦争」に参戦し、中国共産党が先進的な半導体を入手することはますます困難となった。

日経アジアがまとめた貿易データによると、米国が2022年10月7日に半導体の輸出規制を発動して以降、日米蘭の中国向け先端半導体製造装置の輸出は2022年第四半期にそれぞれ減少している。日本は16%、オランダは44%、米国は50%も減らした。いっぽう、同期間における日本と米国の中国以外への輸出はそれぞれ26%、10%と増加した。中国メディアは、2022年の中国の半導体製造装置の輸入額は15%減の347億米ドル(約4兆5000億円)と3年ぶりに減少した。減少傾向は2023年も続き、1~2月期の輸入総額は前年同期比21%減となった。

米中新冷戦以降、先端技術へのアクセスから締め出された中国共産党は日本に照準を合わせた。米国から得ようとしていた技術の8割が日本にあったからだ。そこで中共は日本に揺さぶりをかけることで日米関係に亀裂を生じさせ、米国の対中共包囲網に風穴を開けようと画策した。

いっぽう、日本は中共の計画を察知し、日米間の連携を強めることで、付け入る隙を与えなかった。岸田首相はかつて親中的と考えられていたが、就任後には安倍元首相の対中強硬路線を引き継ぎ、従来では考えられないほど強硬な姿勢を示している。「日中友好議員連盟」の会長を務めていた林芳正外相の任命をめぐっても、閣内における「知中派」と「強硬派」のバランスを取ることで、中国に対してより緻密なアプローチを取るがための人事ではないかとの見解も示されている。

岸田政権の姿勢は国際情勢を反映したものだが、岸田氏個人の要因とも無関係ではない。共同通信の報道によれば、岸田首相は2月末に退任する孔鉉佑前駐日中国大使との面会を拒否したという。孔氏の前任者は退任前に日本の首相と面会することが通例となっていたが、岸田首相は今回、慣例を破った。

これらの一連の動きは、日本の対中政策が新たな局面を迎えていることを如実に表している。ボイス・オブ・アメリカ3月30日付によると、日本は2023年度外交青書のなかで、中国の軍事動向は「日本と国際社会にとって深刻な懸念」であり、法の支配に基づく国際秩序に対する「史上最大の戦略的挑戦」であるとみなしていると報じた。いっぽう、2022年版では「強い安全保障上の懸念」と述べるにとどめた。この記述は、2022年12月に改訂された日本の「国家安全保障戦略」に沿ったものである。

戦後70年以上にわたり専守防衛を堅持し続けてきた日本は今や敵基地攻撃能力を獲得し、日米同盟を基軸とした安保協力を一段と深化させ、アジアでのプレゼンスを高めている。さらにイギリスをはじめとするNATO諸国とも連携を強め、権威主義国家への対応を模索している。林外相が訪中後すぐにベルギーを訪れ、NATO外相会議に出席したことからも、日本の本気度が読み取れる。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
王赫
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