米下院、中国共産党による臓器狩り禁止法案 圧倒的多数で可決

2023/03/28
更新: 2023/04/01

米下院は3月27日、良心の囚人から強制的に臓器を摘出する中国共産党を罰する法案を賛成413、反対2の賛成多数で可決した。

「2023年強制臓器摘出停止法案(Stop Forced Organ Harvesting Act of 2023)」は、共和党のクリス・スミス議員が提出した。良心の囚人から生きたまま臓器を摘出する「臓器狩り」に加担した者に制裁を科し、国外で行われた臓器収奪について年次報告書を提出するよう国務長官に求める。上院からはトム・コットン議員などが同様の法案を発表している。

具体的には、臓器狩りに関与したことが判明した場合、最高25万ドル(約3300万円)の民事罰、最高100万ドル(1億3000万円)の罰金と懲役刑を受ける。

臓器狩りについて「残虐行為かつ人道に対する罪であり、中国の無実の人々に対する戦争犯罪だ。習近平国家主席は直接的な責任を負うが、これに進んで関与した者も責任を負うことになる」とスミス氏はエポックタイムズに語った。

2020年3月10日、米連邦議会議事堂で開催された「中国における臓器調達に関する政策フォーラム」に出席するクリス・スミス下院議員 (Samira Bouaou/The Epoch Times)

この法案は、超党派で支持を受けている。民主党のスーザン・ワイルド議員は米国が「この問題の大きさと広がりについて、十分な情報に基づいた評価」ができるようになると法案の意義を強調。「現在進行中の大量虐殺を考えると、中国共産党の言葉を鵜呑みにすることはできない。私たちは調査し、検証する必要がある」と付け加えた。

腹部には敷き詰められた氷

中国共産党による迫害から生き延び、米国に逃れてきた法輪功学習者、韓愈氏などにとって法案可決は、心強いものとなっている。

「真善忍」という3つの理念を指針とする中国の伝統的気功である法輪功は、1990年代に中国でその健康と道徳的な利点から人気を博したが、これを脅威とみなした当時の中国共産党総書記・江沢民が1999年に弾圧政策を実施。以降、学習者は拷問や臓器収奪の犠牲者となっている。

2019年に英国で開かれた国際人道犯罪を裁量する「中国民衆法廷」は、中国本土で長年にわたり移植手術を目的とした「強制的な臓器摘出が、相当な規模で行われて」おり、臓器狩りの主な犠牲者は法輪功学習者だと結論を下した。

中国共産党の迫害により父親を亡くした韓愈氏。2019年9月24日撮影 (Eva Fu/The Epoch Times)

首都北京出身の韓愈氏は2004年、迫害により法輪功学習者の父親を亡くした。中国共産党が秘密裏に行う臓器狩りの実態が初めて報道される2年前の出来事だった。

父の遺体は極端に痩せ細り、顔はあざに覆われていたという。不信感を抱いた叔父と叔母が取り囲む警官の隙を見て、遺体に着せられたシャツを引き裂くと喉から腹部まで切開した跡があった。太い黒糸で縫合されており、腹部には氷が詰められていたという。

しかし、韓愈氏がその真実を知ったのは3年後のことだ。中国共産党による臓器収奪を説明する記事を見つけ、父が臓器収奪の犠牲者だと確信した。ショックのあまり気を失ったという。

「この話をするたびに心が痛む」と韓愈氏。「しかし、父の死を無駄にできない。中国での臓器収奪を一刻も早く停止しなければならない」と語った。

大きな一歩

医療倫理団体「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」代表のトルステン・トレイ氏は「大きな前進」と法案を歓迎する一方、中国への移植ツーリズムを阻止するためにはさらなる対策が必要だと強調する。

米国に入国するすべての人(合法・不法移民、米国市民を問わず)に対して「強制的な方法で臓器を収奪する国(中国)で臓器移植を受けたかどうか」、また「臓器のために支払った金額」を答えることを義務づける必要があると言う。

「臓器狩りは犯罪だ。中国で法輪功学習者や他の良心の囚人が臓器のために殺されているなら、医療のプライバシーという名目でこれらの犯罪を隠蔽すべきではない」とエポックタイムズに語った。

現在、イスラエル、台湾、イタリア、スペインがすでに臓器移植ツーリズムを禁止している。一方で、欧州議会や米国議会、複数の地方機関も、中国共産党政権の臓器狩りを公に非難しているが、立法手段を採るには至っていない。

しかし、法案が法制化されればその変化に向けた一歩となると、法輪大法情報センターのリーバイ・ブラウデ事務局長は言う。

「この法案が成立すれば、わが国の議会は臓器のために無実の人々を殺害する(中国共産党の)蛮行を止め、それに加担する者を罰する法律を制定した国々と足並みを揃えることになる」と強調した。

Eva Fu
エポックタイムズのライター。ニューヨークを拠点に、米国政治、米中関係、信教の自由、人権問題について執筆を行う。