中国人移民が国盗りをする日本の未来

2023/03/04
更新: 2024/06/13

豊かな国からの逃亡

1970年代の中国は後進国なのだが、経済を知らない中国は経済成長よりも恐怖政治を選んだ。代わりに軍事力を強化して中国の地位を向上させる道を選んでいる。中国は軍事力を見せつけて中国の地位向上に成功したが経済では貧しい国だった。

1990年代後半になるとインターネットが世界に普及する。同時にアメリカ発のグローバル・スタンダードが世界に普及すると中国は安い人件費を武器に生産を行なう。各国の企業は中国の安い人件費を求めて工場を置いた。すると中国は世界の工場と呼ばれるまで急成長した。

2000年代になると中国は豊富な資金を背景に国際社会の地位を向上させた。同時に中国企業による違法コピーが問題視され反発も増加する。そんな中で中国企業はブランドを成長させることに成功する。

2020年代になると見た目の中国は豊かになった。中国は豊富な資金を用いて軍事力を強化して覇権拡大を行なうと各国との軋轢が生まれる。豊富な資金で豊かになっても中国の恐怖政治は変わらず人民の自由は無い。そんな中で中国は移民ブームを迎えている。

 

世界の公民は嫌われる

豊かになった中国で移民願望が増加していることに驚くが、同時に中国人は自ら世界から嫌われる考え方をしていることに驚かされる。それは「これさえあれば、どこにでも行ける。パパやママと同じように、あなたは世界の公民になれるのだから」の一文が本質を示している。

複数の国籍を持ち世界を移動することはビジネスでは都合が良い。例えば中国・カナダ・アメリカの国籍を持っている場合は、三カ国間の移動だとしてもパスポートを使い分けることで常に国民として入出国できる。外国人に対する制限が無いことはビジネスで都合が良い理由なのだ。

だが“貴方は何人なのか?”と問われると返答が難しい。何故なら一つの国籍しか持たない者から見れば正体不明。国籍を変化させるなら自国民と認識できないのだ。それどころか自国の富を祖国へ送金する外国人労働者と見る場合も有る。そうなると自国の富を外国に流す悪い外国人と見なすのだ。しかもこの様な事例は紀元前のギリシャ世界から確認されている。

当時のギリシャ世界は複数の都市国家が存在し協力と対立を繰り返していた。都市国家では政治的な発言権を持つ市民と政治的な発言権を持たない大衆で区分されている。市民は都市国家で地縁・血縁関係で結束する共同体で生きている。だから自分が所属する都市国家を優先する。
 
それに対して大衆は自分の利益を優先するので、少しでも条件が良い都市国家に移住する。さらに大衆は都市国家から地位向上のために権利を求めるので市民から嫌われた。何故なら市民から見れば大衆は都市国家から利益を奪うからだ。

市民:地縁・血縁の共同体であり政治的な発言権を持つ。

大衆:金銭関係の共同体であり政治的な発言権を持たない。

そんな時に都市国家が戦争になると兵士を募集する。募集に応じた大衆は戦後に市民に格上げされる。これは大衆だとしても都市国家を守る義務を兵士として果たしたので、権利として市民に格上げされた。これが市民権の始まりであり、義務を果たすから権利として市民権が与えられた。この市民権の概念は現代でも変わらない。

このため複数の国籍で世界各地に移動できることは事実だが世界の公民にはなれない。もしくは世界で生きる大衆になることを意味している。中国の移民ブームは市民の地位を捨て大衆になることを推奨しているが、これは率先して世界から嫌われる道を推奨しているのだ。

 

移民にも違いが有る

受け入れ国の人間になる移民と植民地としての移民になる2つの意味が存在し、選択を間違えると現地民から嫌われる。何故なら受け入れ国の人間になる移民は現地政府に従い、受入国の文化・風習・言語・伝統・歴史などの価値観を受け入れる。それに対して植民地としての移民は現地政府を無視した移民自治。この場合は現地の文化・風習・言語・伝統・歴史を無視するから国盗りを意味する。

移民の区分
受け入れ国の人間になる移民:原則的に現地政府に従う

植民地としての移民    :原則的に移民自治(現地政府・原住民無視)

 

移民として入国したのに移民自治を行えばどうなるか?祖国の文化・風習・言語・伝統・歴史を移民自治の共同体で維持するから現地民から見れば侵略者に見える。しかも移民自治だと領土を奪う国盗りだから現地民は反発する。
 
最近の移民を使った国盗りはロシアがジョージア(旧名グルジア)に対して行ったことが典型例。ソ連時代からロシアは隣接国にロシア人を移民として送り込んでいた。これはソ連が崩壊して今のロシアになっても方針は変わらず国境付近のロシア系移民が増加するまで待っていた。

ロシアとジョージアの国境付近のロシア系移民が多数派になるとロシア系移民は移民自治を求めて選挙を行った。選挙になると多数派のロシア系移民が勝つのは当然。ロシア系移民は選挙で移民自治を行なうだけではなく祖国への帰属を求めた。するとロシアは“自国民保護”を名目に軍隊を派遣した。これでロシア・ジョージア戦争(2008)に至っている。

 

移民が嫌われる理由

各国で移民が嫌われる理由は現地政府を無視した移民自治を行なうことが原因。自国の法律を無視した移民自治ならば国盗りを意味する。しかも自国の治安を悪化させ雇用を奪うなら移民を敵と認識するのは当然。移民が嫌われるのは移民側に問題が有り受入国の文化・風習・言語・伝統・歴史を受け入れると問題が解決する。だが大半の移民は移民自治にするから問題が解決しない。

では中国人移民はどうなるのか?世界の公民である大衆として生きるなら移民自治を意味する。しかも複数の国から利益を奪う立場になるから信用を得られない。仮に日本に中国人移民が押し寄せたら移民自治を求めた選挙が行われることを避けられない。そうなると中国系日本人が移民自治を行なうと少数派の日本人は排斥されるか住む場所を追い出される未来が待っている。

 

米中戦争の踏み台にされる日本の未来

日本各地で中国企業が土地を買っていることが知られる様になった。今はビジネスとして土地を使っているが自衛隊・在日米軍の基地周辺を監視しているとも言われている。明らかに米中戦争を意識した日本の土地買収と見るべきだろう。それだけではない、中国企業が土地を買ったら中国人による移民自治ができる土台なのだ。

中国人による移民自治が始まれば国盗りの成功。ジョージアと同じく祖国への帰属を求めれば中国は自国民保護を名目に人民解放軍を派遣できる。これは日中戦争ではなく移民を使った国盗り。こうなると今の日本政府では対応できず放置されるだろう。中国は堂々と人民解放軍を日本に配置して米中戦争を実行できる未来が到来する。これを回避するには外国企業が土地を買えない様にすることと移民の条件を厳しくすることだ。できなければ日本国内で国盗りが成功する。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
戦争学研究家、1971年3月19日生まれ。愛媛県出身。九州東海大学大学院卒(情報工学専攻修士)。軍事評論家である元陸将補の松村劭(つとむ)氏に師事。これ以後、日本では珍しい戦争学の研究家となる。