アルミニウム毒性の専門家 25年勤めた大学から退職強要

2023/01/21
更新: 2023/01/21

クリストファー・エクスリー氏はアルミニウムの研究者で、世界でも知識が豊富な一人である。200以上の科学論文を発表しているが、いずれも査読されたものであり、広く引用されている。

しかし昨年7月、エクスリー氏は終身教授の座を追われた。これは彼の説明によると、彼の広範な科学的発見が、アルミニウムの安全性、特に人間の脳に隔離された場合の安全性に疑問を呈し始めたからだという。この重要な科学的発見を称賛する代わりに、大学は彼の研究への資金提供を取りやめたというのだ。

熱心なアルミニウム研究者

英国のスタッフォードシャーのキール大学で、エクスリー氏はいつも眼鏡をか
けて青のジーンズをはき、大学院生と実験計画を検討していた。そして分析結果を再確認し、チームの最新の研究結果の意義について議論していたのだ。
 
彼が研究者になるまでの道のりは、順調なものだった。生物学の学士号を取得した後、英国最大の化学会社であるインペリアル・ケミカル・インダストリーズ(Imperial Chemical Industries、ICI)の資金援助を受けて博士号を取得した。ICIは、種子などの農産物をバイオエンジニアリングするシンジェンタ社と、ワクチンメーカーのアストラゼネカ社の親会社である。

そして1992年、エクスリー氏はキール大学で働き始めた。7つの湖と19世紀の華やかな石造りの建物がある緑豊かなキャンパスである。学生数は現在、1万人ほどだ。

キール大学で最も優れている点は、他の大学よりずっと前から、学生にデュアル・オナー・コース(2つの専攻科目が履修できる専攻課程)を提供していることだと彼は語った。

「当時の大学の柔軟性がよかったのです」と彼は振り返った。「通うのに気持ちのいい場所でした。良いオフィスと素晴らしい研究所がありました。大学から直接の資金提供は受けませんでしたが、何年間かかけて自分で資金を集めました。私はグループを作り、誰にも邪魔されませんでした」

8年間、彼は英国王立協会の研究員として、ひたすら研究に専念していた。その後、英国ではリーダーとして知られるようになり、生物学の正教授に昇格した。生化学研究室で1年生を教えるのも、彼の仕事の一つだった。

生命におけるアルミニウムの役割とは?

アカデミックな経歴を通じて、エクスリー氏は一つの切実な疑問に答えようとしてきた。「アルミニウムは生命にとって、どのような役割を担っているのか?」

「私は、研究対象を転々と変えるような典型的な科学者ではありませんでした」と彼は言う。同僚の科学者たちから「テーマを変えろ」「他のことをやれ」と忠告されても、決してそうしなかった。

彼は200を超える研究論文で、自閉症患者の脳にアルミニウムが異常に多いこと(Journal of Trace Elements in Medicine and Biologyに掲載)、ヒト乳房組織におけるアルミニウムの存在(Journal of Inorganic Biochemistryに掲載)、アルミニウムが後に神経細胞に成長する胚細胞の構造変化を誘発する仕組み(Chemosphereに掲載)などについて発表してきた。

様々な資金源を持つ多才な科学者である彼の入念な化学分析は、現実の医療問題の解決、例えばアルツハイマー病の軽減などに応用されるかもしれない。彼は、25年以上にわたって大学の支持を得てきたと述べた。実際に6年前まで、大学のメディア・オフィスは、彼の新しい研究結果について詳細なプレスリリースを発行するのが通常だったという。しかし、2016年にすべてが変わった。

ワクチンの安全性はタブー?

キール大学は当初、エクスリー氏が草稿を手伝い、自然科学部長が承認した研究についてのプレスリリースを発表したが、その1日か2日後にプレスリリースの一部が彼の知らないところで、あるいは同意なしに削除されたと彼は言う。彼が理由を尋ねると、部長は 「書かれた英語に自信がない」と答えたという。
彼によると、大学側が彼の研究に関するプレスリリースを出したのはそれが最後だ。そして20年間一緒に働いていたプレス担当者は、突然キール大学を去り、二度と彼と話をすることはなかったという。

「私たちは、何年も何年も、25年以上もの間、本当に前向きな協力関係を築いてきたのですが、それがすべて終わってしまったのです」

大学側は、キール大学の雑誌で彼の研究についてのプレスリリースを書かなくなっただけでなく、他の方法で彼の研究を紹介することもしなくなった。ワクチンに使われているアルミニウムの安全性に疑問を呈する研究を発表した後、彼は懲戒公聴会の対象になったのだ。彼は何も悪いことをしていないと判明したものの、キール大学の懲戒記録にマークが付けられている。同じ年に3回マークされると、たとえ終身雇用の教授でも解雇されることがある。

彼は「大学の評判を落とすと何度も言われたので、自分の研究テーマや物事について、しばしばコメントすることさえ恐れていました」と振り返った。

2020年3月中旬まで、キール大学は教授が研究室に行き、研究をすることを禁じていた。エクスリー氏は、英国の雑誌「タイムズ・ハイアー・ エデュケーション・サプリメント」の記事で、「必須とされる粒餌を注文できるのに、アルツハイマー病の人々を助けるための研究を続けることが許されないのはおかしい」とコメントした。「粒餌の人は仕事を続けられるのに、科学者は続けられないのだ」

2020年5月にそのオンラインコメントを残しただけで、彼は再び懲戒処分の対象にされたという。7月には学科長から面談を受け 「大学の評判を落としている 」と言われたという。

「まったくナンセンス」とエクスリー氏は言った。粒餌の労働者の雇用継続を認めながら科学者を締め出す政府の偽善的な政策を彼は批判していたのだ。
2020年のクリスマス頃、彼は再び別の懲戒会議に出るよう命じられたが、出席を拒否したという。

画期的な研究

世界有数のアルツハイマー病研究者であり、「Journal of Alzheimer’s Disease」の編集長であるジョージ・ペリー博士は、エクスリー氏の研究を 「この分野における画期的な研究」とするプレスリリースを発表した。しかし、このプレスリリースをキール大学に転送したところ、学長は「扇情的」と一蹴し、大学は何らプレスリリースを出す気も、他の方法で支援する気もないと編集者に告げたという。

しかし、エクスリー氏にとって、その後の困難な状況は耐え難いものになった。キール大学が彼の研究を支援する資金提供の受け入れを拒否したのだ。

「ボビー・ケネディ氏が、研究費として15,000ドルを小切手で送ってくれました。私はそれを財務担当者に持って行き、私たちの口座に入れようとしたのですが、……キール大学はそれを拒否しました」

大学側はボビー・ケネディ氏宛ての書簡で、小切手を受け取らない理由を説明した。同氏からの個人的な寄付は、キール大学の主要な投資家を動揺させるだろうからだというのだ。

「著名な公人や財団から多額の寄付を受けると、倫理的・風評的に苦境に立たされる可能性があります。そうすることは、潜在的に否定的なメディア報道を生み出す可能性があり、既存の主要な資金提供者やパートナーとの強力な関係を危険にさらす可能性もあります」と、研究・企業担当副学長であるデイビット・アミゴーニ教授と研究・イノベーション・エンゲージメント・キール大学ディレクターであるマーク・ベーコン博士がケネディ氏に宛てた書簡(2020年2月20日付)に書かれている。

その13カ月後、キール大学はエクスリー氏のウェブサイトを閉鎖した。

「大学外からの圧力が高まっていたのだと思います」と、エクスリー氏は語った。「脳内にアルミニウムがなければ、普通に生きていればアルツハイ
マー病にはなりません、と聞く耳を持った人には誰にでも言ってきました」

しかし彼は、キール大学の管理者が彼を黙らせたがったのは、アジュバント(ワクチンと共に投与して効果を高める物質)に含まれるアルミニウムがどのように脳に侵入するかについての彼の論文が原因だと考えている。

副学長は、エクスリー氏が慈善団体や個人からの寄付、慈善事業からの研究
資金を得るのを阻止することに成功した。エクスリー氏は、仕事を辞めるしかないと思った。それまで彼のチームは、毎年20万ドルほどを獲得していたのだ。

ワクチンの安全性を疑い、アンチバクサーとして非難される

アストラゼネカ社は、キール大学のキャンパスでCOVID-19ワクチンを製造している。またエクスリー氏によると、ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団もこの大学の資金提供者の一人であり、ワクチンの研究と普及に多額の投資をしているという。

キールの副学長は、エクスリー氏が英国の反ワクチン運動の中心人物であるとし、彼の研究はすべて「反ワクチン」だと非難した。

2019年の英紙ガーディアンの記事でも、エクスリー氏の研究はワクチンと自閉症の関連性を主張しているものとして分類されている。

しかしエクスリー氏がこれまで行ってきた科学は、どれも反ワクチンではない
と彼自身は言う。彼は、アルミニウムとその生物学上の役割に関心を持っている。彼の発表した論文の多くでは、実際に「ワクチン」という言葉に触れていない。

最近、エルゼビア科学雑誌の編集長が、mRNAワクチンが免疫シグナル伝達を妨害するという科学論文を発表した後、職業上の独立性を保つためとして実質的に辞任に追い込まれた。ワクチンの安全性について発言してきた他の科学者や医師は、懲戒処分や検閲、排斥、嘲笑に直面してきた。

しかし、エクスリー氏のような科学者は、個人的な意見や職業への影響は、科学が導くところに従うことほど重要ではないと主張している。つまり彼が言うには「私の意見でもなく、私の考えでもない。科学がものを言うのだ」

しかし最近、科学的な見地から、彼はワクチンに含まれるアルミニウムが益となるより、害を及ぼしているのではないかと疑うようになった。 「アルミニウム・アジュバントを含むすべてのワクチンにはモラトリアム(一定期間の中断)が必要だ」と彼は言う。そして「私は、ワクチンに含まれるアルミニウム・アジュバントは危険であり、コスト要因以外に存在する理由はないと考えています。アルミニウム・アジュバントを含まないワクチンを作れば、うまくいくはずです」付け加えた。

受賞歴のあるジャーナリストでフルブライト奨学生。西アフリカで子どもの生存のためのキャンペーンに従事したほか、フランスのゴールデンタイムのテレビ番組でパキスタンの児童奴隷制廃止を訴えた。4児の母でもある。著書に『Your Baby, Your Way(仮題:あなたの赤ちゃんは、あなたの方法で)』
Joe Wang
ワクチン業界で10年を越える経験を持つ分子生物学者。現在は新唐人テレビ(カナダ)の社長兼エポックタイムズのコラムニストでもある。