英外下院交委員会のアリシア・カーンズ委員長は9日、公共調達に関する規則の強化を求める法案審議の中で、英国は「さまざまなセキュリティ対策について、ファーウェイ・レベルの判断を迫られている」と述べた。
カーンズ氏は調達法案の第2読会で通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)を英国の5Gネットワークから排除するのに「時間がかかりすぎた」と指摘。英国の公的サプライチェーンには他にもDJIのドローン、ハイテラのボディカメラ、ハイクビジョンの監視カメラなど国家安全保障を脅かす中国製品が数十あると危機感を示した。
英キャンペーン団体「ビッグブラザー・ウォッチ」が昨年2月に発表した報告書によると、英国議会の約73%、英中等学校の57%、国民保健サービス10機関のうち6機関がハイクビジョンとダーファの機器を使用しているほか、大学や警察署にも導入されていることがわかった。
今回の討議では、中国共産党政権が支配するハイクビジョンについて何度も言及された。同社は少数民族らを対象にした監視機器を供給していることで知られ、2019年に米国の取引禁止リストに掲載されている。
セキュリティ調査団体IPVMによると、同社は「抗議活動」や「宗教」、精神修養法「法輪功」などを発見次第、公安に警報を送るシステムを構築していることがわかった。
12月には、ハイクビジョンは英政府が支援する非営利イニシアチブであるナショナル・ビジネス・クライム・ソリューションの準会員であることが判明したとし、英国とウェールズの43の警察が保有するデータへのアクセスが可能だと指摘した。
英政府は11月、国家安全保障上の脅威を理由にハイクビジョンなどの中国製監視カメラの設置を機密性の高い場所では中止するよう各政府部門に命じたが、排除までには至っていない。
また、カーンズ氏は英政府の公用車から中国製の追跡デバイスとSIMカードが発見されたことに触れ、中国製のモノのインターネット(IoT)機器は「信頼できない」と訴えた。世界のIoTモジュールの半分を製造するチャイナ・モバイル(中国移動通信)など中国3社の安価な機器を購入することは、「経路依存を生むので危険な経済だ」と付け加えた。
9日に審議された法案は、公共事業の調達先が現代の奴隷制度、大量虐殺、人道に対する罪に関与しているという証拠がある場合、調達サプライチェーンから排除する計画を公表するよう政府に強制するもの。保守党のティム・ラフトン議員は法案を「支持するだけでなく」、監視技術以外にも拡大するよう政府に要求している。
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