中国公表のデータ、コロナ感染や死者数を過少に報告=WHO

2023/01/05
更新: 2023/01/05

[ジュネーブ 4日 ロイター] – 世界保健機関(WHO)で緊急事態対応を統括するマイク・ライアン氏は4日、中国が公表している新型コロナウイルス感染症による入院者数や死者数について、実態が過少報告されていると指摘した。

「入院者数や集中治療室(ICU)の患者数、とりわけ死亡という点で中国が現在発表している数字はコロナ感染症の真の影響が過少報告されているとわれわれは認識している」とした。

また、中国政府のコロナ死者の定義は「狭すぎる」と指摘。「依然として完全なデータがない」と強調した。

中国政府は先月下旬、新型コロナに感染して肺炎か呼吸器不全で死亡した人のみをコロナ関連の死者として集計する方針を発表しており、世界の医療専門家からは問題視する声が出ていた。

WHOの指針では、疑い例を含め感染者が「臨床診断症状」で死亡した場合、外傷など明らかにウイルスが原因ではない例を除き、死者数として計上するよう求めている。

中国は感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を転換させて以来、1日当たり5人以下の死者しか報告していないが、国内の葬儀場や病院の多くは受け入れ能力が追い付いていないと明らかにしている。

WHOのテドロス事務局長は先に記者会見で「われわれは中国に対し、入院者数と死者数に関するより迅速で定期的かつ信頼できるデータ、およびより包括的でリアルタイムのウイルス配列の公表を引き続き求める」と表明。「WHOは中国における生命へのリスクを懸念し、入院、重症化、死亡から守るためにブースター(追加)接種を含むワクチン接種の重要性を改めて示した」と述べた。

中国の感染率が高い一方で全容を示すデータが公表されていないことを踏まえると、一部の国が中国からの渡航者にコロナ検査を行うなどの水際対策を取っているのは理解できるとした。

WHOの警戒・対応調整部門の責任者、アブディ・マハムド氏は、数週間後に控える春節(旧正月)に中国で親族の集まりが増えるのに伴い、新たな感染の波が起きる可能性があるとして警鐘を鳴らした。

*内容を更新しました

Reuters