中国共産党が自国の軍事近代化を図るべく、次世代の米国技術を取得するために使用している方法は多岐にわたり、その事例をあげれば枚挙にいとまがない。
米カリフォルニア州では、元米陸軍パイロットが機密航空研究を中国共産党政権に売却。ケンタッキー州では、防衛請負会社の幹部が共謀して技術図面を中国に販売し、中国の部品を国防総省のサプライチェーンに不法に導入したとされている。
イリノイ州では、中国を拠点とする企業が労働者に賄賂を贈り、米国の雇用主から独自の通信技術を盗んでいた。ワシントンでは、国防機密の収集を専門とする中国のサイバー組織によって、政府機関がハッキングされたと考えられている。
実際、米国の技術は中国共産党の軍事開発を促進しており、専門家や報告書が示すように、米国と米国が主導する国際秩序に明確かつ現在の危険を提示している。
いくつかの疑問が残る。米国の技術がどのようにして中国共産党の手に渡るのだろうか?その技術を提供している企業は、どうして、それを食い止めるために手段を講じないのだろうか?米国への脅威は、どれほど深刻化しているのだろうか?
インサイダー脅威
ケイシー・フレミング氏は、戦略的リスクおよび防諜会社「ブラックオプス・パートナーズ(BlackOps Partners)」の最高経営責任者(CEO)である。最近、同氏が警鐘を鳴らし焦点を当てていることは、米国に実質的なリスクをもたらすとされる中国共産党によるハイブリッド戦争に係る戦略と、その対抗策である。
同氏はエポックタイムズの取材で、米国企業またはその関係者によって行われたスパイ活動が、人民解放軍の発展を著しく加速していると指摘した。
「中国共産党はサイバースパイや中国共産党や人民解放軍の『職員』、金銭的補償や恐喝によって妥協した米国人従業員を通じて米国の技術を取得している。それには請負業者やサプライチェーンも含まれている」
さらに「大半はスパイ行為や知的財産窃盗によって技術を取得しているが、その3分の1はパートナーシップや中国共産党の法律要件を含む合法的な手段によるものだ」と付け加えた。
2021年11月の司法省の声明では、2018年以降に同省が起訴した経済スパイ事案のうち、80%が中国共産党に直接利益をもたらす行為に関与していたと報告している。
同様に、元空軍で宇宙軍所属のソフトウェア最高責任者ニコラス・チャイラン氏もインサイダー脅威が米中間の技術移転の主要な原因だと指摘し、中国共産党はあらゆる分野の米国機関に潜入しようと、多くの人材を送り込んでいると述べた。
「インサイダー脅威は、ビジネス取引きを行うすべてのトップ組織において、恐らく最も過小評価されている脅威である」と、昨年のエポックタイムズの取材で語っていた。「事実、中国共産党は、米国の大学や最も革新的な企業に多くの人々を送り込んでいる。内部からデータが流出する非常に大きなリスクがある」
インサイダー脅威の概念は、一般市民にとっては大袈裟にまたは陰謀的にも見えることがあるが、実際、中国共産党の最も脅威的な次世代兵器はそうした取り組みの直接の結果だ。
実際、米国の先進的核施設のインサイダーをなくしては、中国共産党は米国の研究を利用し、独自の極超音速ミサイルの開発できなかっただろう。
米国の技術で作られた極超音速ミサイル
2021年の夏、中国共産党は密かに、核弾頭搭載可能な「極超音速ミサイル」の発射実験を行った。このニュースが10月に世間に報道されたとき、米国の専門家や議員は、それが盗まれた米国の技術と研究の結果であることを主張するのに、それほど時間はかからなかった。
「この発射試験から武漢ウイルス研究所、新疆ウイグル自治区に至るまで、そして米国人を殺し、危険な研究を行い、大量虐殺を行う中国共産党の能力に、米国の技術は加担してきた」とマイク・ギャラガー議員は指摘。
「今こそ、米国企業は選択すべき時に来ている。米国側にいるのか、それとも大量虐殺を行う中国共産党の側につくのか?」
ギャラガー議員の発言は、後になって、半分正しいことが分かった。
中国共産党は、米国の研究を利用して、米国人を殺す能力を高めていた。しかし、その研究は民間企業からではなく、エネルギー省を経由して来たものだ。
(つづく)
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