米インド太平洋軍司令官のアキリーノ海将は、中国が台湾に侵攻した場合、厳しい国際的な制裁が課され「ロシアが受けた500倍もの壊滅的影響」を被るだろうと述べた。
今月3日に開催されたレーガン財団主催のレーガン国防フォーラムに出席した際の発言。世界経済と結びつく中国に対して、米国が制裁を課した場合の損失の甚大さを強調し、中国側に警告を発した格好だ。
同時に、世界経済に与える対中制裁の影響力を矮小化するために、米国は日本や韓国との経済協力していく必要性を訴えた。
さらに、ロシアによる侵攻の停滞を中国は注視すべきであり「(強制的な)台湾統一の難しさを過小評価しないように。まさに血と財産の浪費となるだろう」とも付け加えた。
前米インド太平洋軍司令官デービッドソン海将が昨年、今後6年以内に中国による台湾侵攻が顕現化すると述べた経緯から、台湾危機は「2027年説」が米国や同盟国の目安のひとつとされる。
しかし後任のアキリーノ氏は今回、中国による台湾侵攻の「タイムテーブルは重要ではない。我々は今日にも準備を整えていなければならず、可能な限りの行動をとるべきだ」と述べた。
「戦闘が始まれば、終結させるのは非常に困難になる」「米国の抑止努力を維持するために可能な限り迅速に行動する。このためには軍事力、産業基盤、予算など、今必要とされているものを提供する切迫感が求められている」と力説した。
ロナルド・レーガン財団が1日に発表した世論調査で、米国人は中国による台湾侵攻は遠くないと見ていることがわかった。
この調査では、70%の米国人が「今後5年以内に中国が台湾を侵略する可能性がある」と回答した。また、対中感情も年々悪化している。中国を「敵対国」と見なすと回答した人は75%に上り、昨年の65%から10ポイントも増加した。
米国は台湾に対して軍事支援を継続している。米上院で15日に可決された2023会計年度の国防予算の大枠を決める国防権限法(NDAA)案では、台湾に対して今後5年間で最大100億米ドルの軍事支援を行うことが明記された。
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