米ロックフェラー大学の研究チームは、蚊の標的になりやすい人は、皮膚に特定の臭い成分が多いことを発見した。論文は米学術誌「セル」に掲載された。
これまでは、蚊に刺されやすい理由として血液型や血糖値、ニンニクやバナナの摂取などが挙げられていたが、いずれも確かな科学的根拠はなかった。しかし今回の実験により、皮脂にカルボン酸化合物が多く含まれる人は、蚊を惹きつけやすいことがわかった。
研究チームはジカ熱やデング熱、黄熱病などのウイルスの媒介役になるネッタイシマカで実験した。ロックフェラー大学の64人のボランティアに1日6時間、腕にナイロン製のストッキングを装着してもらい、蚊にとって最も魅力的な臭いの人を調べた。
数カ月にわたる研究の結果、最も蚊の標的になりやすい人は、そうでない人とに比べて蚊を惹きつける強さは最大約100倍違った。研究者のマリア・オバルディア氏によれば、その差は明らかで「最も魅力的な臭いのサンプルにすぐ群がった」という。
米フロリダ国際大学の神経遺伝学者で、同実験には携わっていないマット・デジェンナーロ氏も、複数年にわたって被験者を調査し、同様の結果が得られたと述べた。「蚊を誘引する人は、ずっと蚊を誘引し続けた」と明らかにした。
一方で、ワシントン大学の神経生物学者ジェフ・リフェル氏は、この研究は蚊を撃退する新しい方法を見つけるのに役立つかもしれないと述べた。人間の皮膚の常在細菌を調整することで、臭いを変え、蚊の標的にならないようにすることができる可能性があるという。
(翻訳編集・徳山忠之助)
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