4日朝、北朝鮮が日本上空を通過する弾道ミサイルを発射したことについて、東アジア・太平洋担当のクリテンブリンク米国務次官補は、北朝鮮の行為は「地域的および国際的な安定を深刻に脅かす重大な挑戦」だと述べた。いっぽう、国連制裁の義務を果たさず、北朝鮮に対する調達ルートを絶っていないとして中国とロシアを批判した。
クリテンブリンク氏は米シンクタンクのオンラインイベントに出席し、米国は同盟国である日本と韓国を守るために「米国の国家権力を含むすべての必要な措置を講じる」と強調した。いっぽう、北朝鮮には対話窓口を開けているとしながらも、北朝鮮がもたらす脅威には「断固として対応する」と述べた。
さらに、中国とロシアによる協力が北朝鮮による国連制裁回避につながっているとしたうえで「中国とロシアが義務を完全に果たさないがために、国連安全保障理事会や国際的なルールに基づく秩序、世界的な核不拡散体制を弱めている」と批判した。
北朝鮮のミサイル発射は、アキリーノ米インド太平洋司令官の訪日中に起きた。4日午前、浜田靖一防衛相との会談で「このような行動が地域に不安定をもたらし、さらには平和と安定を脅かす」と述べ、自由で開かれたインド太平洋の維持に取り組む考えを示した。
政府は内閣官房長官声明を発表し、ミサイル発射は国連安保理決議違反であり、「我が国として断じて容認できない」と最も強い言葉で非難した。政府によると、ミサイルによる航行中の船舶・航空機による被害報告等の情報は確認されていない。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過したのは2017年9月15日以来およそ5年ぶり。
声明は、総理指示を踏まえ北朝鮮の弾道ミサイルについて、落下物等による被害確認を行うほか、国民への的確な情報提供、米韓などとの国際協力の強化、国連安保理における更なる対応を求めるとした。さらに、新たな国家安全保障戦略などの策定をし、「反撃能力」を含め、防衛力を抜本的に強化していくことを表明した。
松野博一官房長官は同日の記者会見で、自衛隊によるミサイルの破壊措置は実施していないと明らかにした。「自衛隊が発射直後から落下までに完全に探知・追尾をしており、その落下によって我が国領域における被害は想定されなかった」ためだという。
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