フィリピン当局はこのほど、中国が13日に打ち上げたロケットの残骸が、2つの人口密集地付近のいずれかに落下する恐れがあると警告を発した。
中国メディアによると13日夜、新型ロケット「長征7号A(CZ-7A)」は同国南部・海南島の文昌衛星発射場から打ち上げられ、所定の軌道へ人工衛星を送り届けた。
通常、ロケットは衛星などを軌道に送り届けた後、制御下で降下し、無人の海洋など地球の所定区域の上空の大気圏で燃えるよう設計されている。燃え尽きずに残骸が地上に落下する危険性がある場合も、海など人のいないところに落下するよう事前にコントロールされている。
しかし、長征7号Aは衛星を軌道に乗せた後、破片は依然として地球を周回したままで、いつ、どこで大気圏に再突入するかは不明だという。
ロケットの破片を監視するフィリピン宇宙当局によると、破片は南東部に位置するブルゴス(Burgos)市から約71キロメートル離れた場所、または北部のサンティアゴ(Santiago)市から約52キロメートル離れたところへ落下する可能性がある。
当局は、同国領の陸地や人々の居住区域に落下する可能性は低いとした。いっぽう、破片は落下区域を通過する船舶や航空機などにとって大きな脅威となりうると警告した。
「長征7号A(長征七号甲)」は新世代中型運搬ロケットで、ブースターを4基搭載し、全長は60.1メートル、直径は3.35メートル。
宇宙開発の実績を国威発揚に結び付けようと狙っている中国政府は、宇宙開発に巨額の投資を行っている。しかし、「国際ルール」を守らない同国の乱暴すぎる宇宙開発に、各国から懸念と批判の声が絶えない。
2020年5月に打ち上げられた中国の大型ロケット「長征5号B」の破片はアフリカ西部のコートジボワールの民家の庭先などに落下した。今年7月にも、同大型ロケットの残骸が非制御落下であることが分かり、米航空宇宙局(NASA)などから批判の声があがった。
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