中国企業の出資を受けるアルファウェーブ社による米半導体開発企業の買収を米外国投資委員会(CFIUS)が承認したことをめぐって、共和党のマルコ・ルビオ上院議員は8月29日、「米国の競争力が長期的に損なわれる」と懸念を表明した。
半導体メーカーに技術提供を行うアルファウェーブは8月26日、CFIUSから半導体知的財産(IP)開発企業オープンファイブの買収承認を得たと発表した。買収は9月に完了する予定だ。
いっぽう、中国系投資ファンドのワイズ・ロード・キャピタル(智路資本)はアルファウェーブの株式10%を保有しているほか、アルファウェーブの技術をライセンス供与する契約を締結している。
この資本関係を問題視したルビオ氏は声明で「自国で最先端技術の研究開発を行う能力がない中国は、米国の知的財産を買って盗もうとしている」と指摘、「バイデン政権はこの脅威を真剣に受け止めていない」と危機感をあらわにした。
ルビオ氏はまた、米国の高度な先端技術が中国企業の手に渡ることは「中国共産党が先端半導体の次世代製品を開発できるようになることを意味する」と強調。外国投資委員会の決定を非難し、関連事例の精査を促すよう求める書簡をイエレン米財務長官に送った。
中国系投資ファンドのワイズ・ロード・キャピタルは今年4月、韓国の半導体メーカー「マグナチップ・セミコンダクター」を買収しようと試みた。しかし、国家安全上のリスクを理由にCFIUSから合併承認を得られなかったとし、合意を解消している。ルビオ氏は「ワイズ・ロード・キャピタルは中国以外の半導体企業へ投資や出資を拡大することで最先端技術や知的財産を取得し、その大半を中国に移転している」と述べた。
バイデン政権は8月、中国を念頭に半導体の国内生産や研究開発に総額約2800億ドルを投じる「CHIPS」法案を成立。バイデン氏は署名式で「米国への一世一代の投資」「21世紀の競争に打ち勝つ」と意義を強調していた。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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