台湾の半導体大手・聯華電子(UMC)の曹興誠会長は5日、対中防衛の強化に向け、台湾政府に1億ドルを寄付すると発表した。ペロシ米下院議長の訪台を受け、中国軍は台湾周辺で実弾射撃などを伴う軍事演習を実施。曹氏は憎悪と暴力で構成された「中国共産党の邪悪な本性を見抜く」よう台湾国民に呼びかけた。
曹氏は台北での記者会見で、中国共産党の認知戦、心理戦、世論戦により台湾は危険な状況に置かれていると強調。「台湾人が死を恐れず、自由と民主主義、人権を守るために戦うことを望む」と寄付の理由を述べた。
また、中国共産党は「全体主義、欺瞞、憎悪、暴力」を崇拝する「黒社会(マフィア)組織だ」だと述べ、嘘をつく政権を決して信じてはならないと警鐘を鳴らした。
曹氏は中国本土で生まれ、台湾で育ち、シンガポール市民権を持つ。1980年代前半にUMCを創業。世界第2位の半導体チップOEMメーカーに成長させた。中国にも2つの工場を建設している。同氏は2019年、財訊の取材のなかで、UMCの中国事業を振り返り「もしやり直せるなら、工場設立のために中国本土には行かなかっただろう」と後悔の念を口にしている。
3月には、台湾市民に対して、外国からの支援ではなく、自衛力を強化するよう訴えていた。台湾国籍を持つ2人の息子は「台湾有事の際、人民解放軍を撃退するために戦う」とも述べた。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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