米国のインド太平洋安全保障担当の国防次官補イーライ・ラトナー氏は26日、中国共産党はルールに基づく国際秩序を損ない、最終的にはそれに取って代わる広範な戦略を組織的に実行していると指摘した。また、南シナ海における中国軍の「攻撃的で無責任な行動」を非難し、「大きな事件や事故が起こるのは時間の問題だ」と述べた。
ラトナー氏は米シンクタンク戦略国際問題研究所で講演を行い、中国軍は、過去5年間にインド太平洋地域における米国の同盟国や友好国対する攻撃性を劇的に高めていると指摘。同氏によると、この攻撃は「ルールに基づく秩序の核心的要素を解体する」という広範な「統一的戦略アプローチ」の一部であるという。
中国共産党は中国軍を利用して、「我々の集団的決意の限界を組織的に試し」、「新しい現状を推進」していると発言した。
ラトナー氏は、約5年前から中国軍による他国の哨戒機への異常接近といった妨害行為が増加していることを例として挙げた。その妨害行為は毎年「桁違い」に増えている。
これは、「中国が軍事力の増強とリスクを顧みない意思の強さを兼ね備えるようになった」表れだと語る。
中国軍機は5月に南シナ海でオーストラリアの哨戒機に異常接近し、「チャフ」と呼ばれるレーダー妨害のための金属片やアルミ片などを放射した。アルバニージー首相は、「乗組員の安全を脅かす危険な行為だ」と批判した。
カナダでも北朝鮮による国連安全保障理事会決議の違反活動を監視していた哨戒機が、複数回にわたって中国軍機に異常接近されている。
中国共産党の攻撃は、他国の主権を繰り返し侵害することにも及んでおり、中国軍が他国の排他的経済水域内の軍機などにつきまとい、嫌がらせをすることもあると、ラトナー氏は付け加えた。オーストラリア、マレーシア、フィリピン、ベトナムはこういった事態に対処してきたという。
「もし中国軍がこのような行動を続けるなら、この地域で大きな事件や事故が起きるのは時間の問題だ」とラトナー氏は述べた。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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