米上院は27日、国内の半導体製造および開発の支援に2800億ドル規模を投じる法案を可決した。米国の国家安全保障上のリスクにつながるとし、中国軍の威圧にさらされる台湾への半導体供給の依存を下げる狙いだ。週内に下院でも可決する見通しで、バイデン大統領の署名を経て成立する。
法案は64対33で可決した。米国内の半導体開発・生産強化に向け520億ドルもの補助金と投じるほか、半導体工場への投資を促進するため、税額控除の制度を設ける。また、補助金を受け取る企業は、受取日から10年間、半導体製造で中国など安全保障上の懸念がある国に投資することを禁じる内容などが盛り込まれた。
法案について、土壇場での改変も加えられた。民主党上院トップのシューマー院内総務は、中国への生産委託で得た資金で開発された技術をメーカーが使用することを禁じる条項を削除。これにより、ハイテク企業は納税者の資金を使って、国内で半導体技術を研究・開発し、その半導体の製造を中国に輸出することが可能になる。
シューマー氏は声明で「高給職の創出やサプライチェーンの緩和、コスト低下につながり、米国の国家安全保障上の利益を守る」と強調した。
米国は国内で使用する最先端半導体の90%を台湾から輸入している。レモンド商務長官は台湾からの半導体の輸入が止まれば、米国は「即座に深刻な景気後退に直面する」と法案成立を訴えていた。
上院では、民主党と共和党の間で資金割当について合意に至らずこう着状態が続いていた。共和党は新たな法人税控除を、民主党はグリーンエネルギーと研究資金を含めるよう求めていた。
(翻訳編集・山中蓮夏)
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