中国は電気自動車のバッテリーに不可欠な原料であるリチウム資源の確保を急いでいる。ジンバブエの大手鉱山会社はこのほど、2023年から中国にリチウム含有鉱石を供給すると新たに発表した。
ジンバブエのZuluリチウム鉱床のジョージ・ローチ最高経営責任者(CEO)は11日、ロイターに対し、中国、欧州、オーストラリアの入札先から中国の蘇州天華超浄科技股分有限公司に決めたことを伝えた。
蘇州天華は、Zulu鉱床に3500万米ドル(約48億3000万円)を投じて工場を新設し、リチウム鉱石の年間生産量を5万トンまでに引き上げる計画だ。
中国企業はジンバブエのリチウム鉱山に多額の投資をしている。
コバルト製品メーカーの浙江華友鈷業は6月、ジンバブエの首都近郊のリチウム鉱山に3億米ドル(約414億円)を投資し、年間40万トンのリチウム精鉱を増産すると発表した。同社は2021年12月にジンバブエのリチウム鉱山会社を完全買収したばかり。
レアメタル(希少金属)の採掘・精錬を手がける中国の国有企業傘下の中鉱資源集団は2月、ジンバブエ最大のビキタ・リチウム鉱山の経営権を1億8000万米ドル(約248億円)で買収すると発表した。同社はカナダのリチウム・セシウム鉱山や、ザンビアの銅山および鉄鉱山などの権益をすでに保有している。
リチウムは電気自動車用バッテリーの主要原料であり、市場価格は高騰している。ジンバブエは世界最大級のリチウム鉱山をいくつも保有している。
2000年代の選挙不正や政治の腐敗から、欧米各国はジンバブエに対して制裁措置を実施。欧米諸国との関係悪化を受け、同国は中国やイランとの関係を強化してきた。
鉱山投資やインフラプロジェクトに伴い、多くの中国企業がジンバブエに進出したが、中国の経営側による現地労働者への暴力行使、過酷な労働環境、低賃金、環境汚染などの問題が立て続けに浮上し、同国内で反中感情が高まっている。
(叶子静)
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