米調査機関ピュー研究所が6月29日に発表した、日本を含む主要国を対象にした世論調査によると、中国に対する否定的な見方は多くの国で過去最高に近いことがわかった。要因は主に非人道的な人権問題に関係している。
アジア太平洋や北米、欧州諸国の主要国19カ国を対象とした調査の中で、中国に対する否定的な見方は2020年に急激に上昇し、回答者の68%が中国に対して好感を抱いていなかった。特に新疆ウイグル自治区における政策をジェノサイドと認定した国はより否定的な印象が高い傾向にある。
調査では、中国の人権政策、軍事力、経済競争、中国政治の影響についての懸念度合いを調べた。4項目のなかで欧州の多くの国では人権政策を最も懸念する問題と挙げたのに対し、日本やオーストラリア、韓国では軍事力への懸念が最も高かった。
各国の分析では、日本では東シナ海地域をめぐる中国の力による威圧的な行動、韓国では米高高度防衛ミサイルシステム(THAAD)配備をめぐる中国の経済的報復、オーストラリアでは中国軍艦や軍用機による危険行動がそれぞれ印象悪化の要素に繋がっているとした。
また調査では、多くの回答者が中国との経済・貿易関係を損なうことになっても、人権改善を促進することの方がより重要であると考えていることが明らかになった。
ベルリンのメルカトル中国研究所のアナリスト、グジェゴルツ・ステカ氏は、中国人権政策に関する各国の印象低下は、新疆ウイグル自治区や香港の人権侵害を継続的にメディアが報道したことによるものと指摘した。
ステカ氏はボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に対し、中国に対する否定的感情が絶えず増加することで、各国は強制労働問題に対する厳しい政策や措置を取るようになり、民主主義的な台湾との関係強化を求める声も高まるだろうと述べた。同氏は今後、ウクライナ侵攻で残虐行為を続けるロシアを暗黙に支持する中国の姿勢も、各国世論に影響するとみている。
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