中国当局、国民の出国を「厳しく制限」 旅券にハサミ入れも

2022/05/13
更新: 2022/05/13

中国国家移民管理局は12日、感染対策の一環として国民の「不要不急の出国を厳しく制限する」との声明を発表した。インターネット上では、当局が空港で海外へ渡航しようとした市民のパスポート(旅券)にハサミを入れたとの情報が流れた。なかに米国永住権(グリーンカード)にハサミを入れて破棄したケースもある。

国家移民管理局の声明によると、中国公安省次官および国家移民管理局長の許甘露氏は10日の会議で、「厳しい出入国政策を実施し、国民の不要不急の出国を厳しく制限し、出入国に関する書類を厳格に審査する」と指示した。

米ラジオ・フリー・アジア(RFA)などの報道では、最近中国各地の空港は出入国審査を強化した。広州白雲国際空港の入国審査官はタイなどからの帰国者に対して、海外での滞在状況や再出国の予定などを詳しく聴取しており、その場で帰国者のパスポートを破棄したケースも起きた。

あるネットユーザーが中国SNS上に、上海浦東国際空港の出入国管理当局の内部通知を写真で投稿した。通知には「出国動機が良くない者のパスポートをその場で破棄する」「国家と党に恨みを抱く者の出国を禁止する」などと書かれている。

カナダの学生ビザを持つ別のネットユーザーが出国する際、出国審査官から「何のためにカナダに行くのか」「対面授業はあるか」と聞かれた。このネットユーザーが「今はオンライン授業だけ」と答えた直後に、審査官はパスポートにハサミを入れたという。

米国への留学情報などに関する中国SNSプラットフォーム「赴美討論」では、米国のグリーンカードを持つ母親が米国籍の子どもを連れて広州白雲国際空港から出国しようとした際、審査官が無理やり母親のグリーンカードにハサミを入れたとの投稿が注目された。

RFAは、同様の事例は多発しているとした。

中国政府は中共ウイルス(新型コロナウイルス)が発生した2020年に海外観光用のパスポートの発行を中止した。21年8月、国家移民管理局は留学、就業、ビジネスの目的を除き、一般パスポートを含む出入国審査用の証明書の発行を一時停止すると発表した。

中国法学者の頼建平氏は、「中国の憲法などは国民の人身の自由、自由に出入国する権利を保障する。当局のやり方は明らかに違憲行為だ」と非難した。

頼氏は大紀元に対し、中国政府は感染対策を口実に、国内の移民ブームや海外への資金流出を食い止めるのが狙いだと指摘した。

1カ月以上にわたり封鎖されている上海市などでは、市民が行き過ぎた防疫政策に強い不満を募らせている。RFAによると、4月の検索サイト「百度(バイドゥ)」の移民に関する検索ランキングでは、省・市別で上海市、江蘇省、広東省、北京市が上位4位となった。「移民」に関する上海市民の検索量は3月と4月にトップとなった。

張哲
張哲
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