キルガー氏の遺志を継ぐ…カナダ議員、臓器売買対策法案の成立を求め請願

2022/04/11
更新: 2022/04/11

カナダの下院議員らは6日、カナダ政府元閣僚で人権活動家のデービッド・キルガー氏の死去を受けて、臓器売買対策法案(S-223)の成立を求める請願書を提出した。キルガー氏は中国共産党による臓器強制摘出問題に初めて光を当てた一人。保守党のパット・ケリー議員は「今なお続いているこの虐殺」に終止符を打つためにも、法案の成立は重要だと訴えた。

臓器売買対策法案は、カナダ国民が外国に渡航し、ドナー(臓器提供者)の同意が得られないまま摘出された臓器で移植手術を受けることを刑事犯罪として処罰するもの。同時に移民・難民保護法を改正し、永住権保持者や外国人が臓器売買に関連する活動に従事した場合、カナダへの入国を禁じる。2021年12月9日に上院で可決され、12月16日に下院で第一読会が行われた。

4月6日と7日には、保守党議員13名が請願書を提出し、法案の成立を訴えかけた。

遺志を継ぐ

キルガー氏は昨年、臓器売買対策法案の前身である法案S-204について上院委員会で証言した際、多くの国がすでに臓器売買に対抗する法律を制定しているが、カナダにはまだそうした法律がないと指摘。「恥ずかしいことだ」と発言していた。

2018年6月20日、法輪功迫害の停止を求めて演説するデビッド・キルガー氏(Samira Bouaou/The Epoch Times)

ケリー議員は「(強制臓器摘出問題は)キルガー氏によって初めて明るみに出た。彼が法案の成立を見届けることができなかったのは残念だ」と述べた。自国民が無意識のうちに犯罪に加担することを阻止するためにも「この法案の成立を願っている」と強調した。

対中政策列国議員連盟(IPAC)のカナダ共同メンバーでもあるガーネット・ジェネス議員は「キルガー氏はこの問題を、私を含め多くの人々に気づかせてくれた」「キルガー氏の素晴らしい功績を、議会の同僚とともに称える」と述べた。

中国共産党による法輪功学習者への強制臓器摘出は2006年、キルガー氏と人権弁護士デービッド・マタス氏の調査報告書『血まみれの臓器摘出』(後に同名の書籍も出版)によって広く知られるようになった。

以後、キルガー氏はマタス氏とともに米国や欧州、日本をはじめとする国々の議員や人権組織を対象に講演し、人道に対する犯罪の停止を訴えた。2010年にはともにノーベル平和賞候補としてノミネートされた。

米国をはじめ国際関係担当。